中日春秋
2009年12月16日
環境保護運動の先駆者レイチェル・カーソンは、農薬の影響で鳥の声が消えた不気味な森の話からつとに名高い警告の書『沈黙の春』を書き起こしている
▼天皇陛下と中国の国家副主席の会見をめぐり、ルール破りで「天皇の政治利用」だと懸念を示した宮内庁長官を、民主党の小沢幹事長がやり玉にあげた。それを聞き何となく、その“沈黙の森”を思った
▼何しろ政治主導、つまり官僚主導打破が看板だ。「一役人が内閣の決定を批判するとはけしからん」と小沢さん。本人は否定したが、やはり“特例”の背後には…と勘繰りたくなるような剣幕(けんまく)だった
▼思いだしたのは、小沢さんが力を入れる国会での官僚答弁禁止案。内閣法制局長官まで含むという。「国連決議があれば海外での武力行使も合憲」が持論の小沢さんは自民党時代、湾岸戦争への自衛隊派遣を策し、法制局の「違憲」解釈に阻まれた因縁がある
▼政治主導はいい。だが「二人の長官」の件からは、小沢流の一面が見えてくる気がしてならない。即(すなわ)ち、都合の悪いことを言う者は黙らせるという姿勢。「物言えば唇寒し」の空気が広がらないかも心配だ
▼「役人は立場を弁(わきま)えよ」と言いたいらしいが、立場を超えて行ってこそ諫言(かんげん)だろう。「これはまずい」と思った時も官僚たちはひたすら口をつぐむ。政府がそんな“不気味な森”になってはいけない。
2009年12月16日
環境保護運動の先駆者レイチェル・カーソンは、農薬の影響で鳥の声が消えた不気味な森の話からつとに名高い警告の書『沈黙の春』を書き起こしている
▼天皇陛下と中国の国家副主席の会見をめぐり、ルール破りで「天皇の政治利用」だと懸念を示した宮内庁長官を、民主党の小沢幹事長がやり玉にあげた。それを聞き何となく、その“沈黙の森”を思った
▼何しろ政治主導、つまり官僚主導打破が看板だ。「一役人が内閣の決定を批判するとはけしからん」と小沢さん。本人は否定したが、やはり“特例”の背後には…と勘繰りたくなるような剣幕(けんまく)だった
▼思いだしたのは、小沢さんが力を入れる国会での官僚答弁禁止案。内閣法制局長官まで含むという。「国連決議があれば海外での武力行使も合憲」が持論の小沢さんは自民党時代、湾岸戦争への自衛隊派遣を策し、法制局の「違憲」解釈に阻まれた因縁がある
▼政治主導はいい。だが「二人の長官」の件からは、小沢流の一面が見えてくる気がしてならない。即(すなわ)ち、都合の悪いことを言う者は黙らせるという姿勢。「物言えば唇寒し」の空気が広がらないかも心配だ
▼「役人は立場を弁(わきま)えよ」と言いたいらしいが、立場を超えて行ってこそ諫言(かんげん)だろう。「これはまずい」と思った時も官僚たちはひたすら口をつぐむ。政府がそんな“不気味な森”になってはいけない。