中日春秋
2009年11月17日
日本と中国と韓国、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教、生徒と親と先生、嫁と夫と姑(しゅうとめ)…。その十七世紀の屏風(びょうぶ)絵を前にいくつもの「三者」の取り合わせが心に浮かんでは消えた
▼名古屋市博物館で二十三日まで開催中の『妙心寺 禅の心と美』展で見た重要文化財『寒山拾得・三酸図屏風』(海北友松(かいほうゆうしょう)筆)。左隻の「三酸図」では、三人の人物が酢をなめ、一様に「酸っぱい!」と言わんばかりに顔をしかめている
▼三人は儒教、仏教、道教を代表する北宋時代の蘇東坡(そとうば)、仏印禅師(ぶついんぜんじ)、黄庭堅(こうていけん)。即(すなわ)ち三者の道は違うようでも到達点は同じとの画意という。時にぶつかることもある世の様々(さまざま)な「三者」にも、似たことは言えるのかもしれない
▼ところで、東海地方と妙心寺の縁は深い。妙心寺派寺院の四割近くは、愛知、岐阜、三重、静岡にあるそうで、展覧会では各寺秘蔵の品も多数見られる。そもそも開山の関山慧玄(かんざんえげん)が岐阜・美濃加茂の寺から招かれている
▼臨済宗中興の祖と言われる妙心寺派の僧で、その書画も展示中にある白隠慧鶴(はくいんえかく)も静岡の生まれ。禅の修行で出される問題を「公案」というが、代表的な一つが、その白隠の考案した「隻手音声(せきしゅおんじょう)」だ。即ち、「両手を打てば音が鳴るが片手で音がするとは?」
▼そんな難問に答える力はないが、さて、会場で名品を前に、心中打ったのは片手だったか、両手だったか。
2009年11月17日
日本と中国と韓国、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教、生徒と親と先生、嫁と夫と姑(しゅうとめ)…。その十七世紀の屏風(びょうぶ)絵を前にいくつもの「三者」の取り合わせが心に浮かんでは消えた
▼名古屋市博物館で二十三日まで開催中の『妙心寺 禅の心と美』展で見た重要文化財『寒山拾得・三酸図屏風』(海北友松(かいほうゆうしょう)筆)。左隻の「三酸図」では、三人の人物が酢をなめ、一様に「酸っぱい!」と言わんばかりに顔をしかめている
▼三人は儒教、仏教、道教を代表する北宋時代の蘇東坡(そとうば)、仏印禅師(ぶついんぜんじ)、黄庭堅(こうていけん)。即(すなわ)ち三者の道は違うようでも到達点は同じとの画意という。時にぶつかることもある世の様々(さまざま)な「三者」にも、似たことは言えるのかもしれない
▼ところで、東海地方と妙心寺の縁は深い。妙心寺派寺院の四割近くは、愛知、岐阜、三重、静岡にあるそうで、展覧会では各寺秘蔵の品も多数見られる。そもそも開山の関山慧玄(かんざんえげん)が岐阜・美濃加茂の寺から招かれている
▼臨済宗中興の祖と言われる妙心寺派の僧で、その書画も展示中にある白隠慧鶴(はくいんえかく)も静岡の生まれ。禅の修行で出される問題を「公案」というが、代表的な一つが、その白隠の考案した「隻手音声(せきしゅおんじょう)」だ。即ち、「両手を打てば音が鳴るが片手で音がするとは?」
▼そんな難問に答える力はないが、さて、会場で名品を前に、心中打ったのは片手だったか、両手だったか。