中日春秋
2009年9月30日
米国から見てイメージのよくないことで言えば、リビアの最高指導者カダフィ大佐は屈指の人物であろう。かつて「中東の狂犬」と呼んだこともある
▼確かに、少し前の国連総会“デビュー”も強烈だった。なにしろ初のスピーチで国連安保理を「テロ理事会」呼ばわりするなど、言いたい放題。持ち時間も無視しての長広舌は実に一時間半余に及んだ
▼米メディアは「たわ言」と言わんばかりの伝えようだったが、次の発言も実は大佐の演説の一部である。「国連では、大国も小国も平等だというが、常任理事国に拒否権がある安保理は平等か。ノーだ」
▼国連の実相を突く、何とももっともな主張である。拒否権は第二次大戦で勝利した大国の特権。その意味では、未(いま)だに戦勝国が敗戦国の領地を占領し続けているようなものだ。国連憲章前文にも「大小各国の同権」をうたっているのだから、なおさらである
▼もっとも、誰も言わないだけで、日ごろ掲げる民主主義の看板と明らかに矛盾していることぐらいは当の大国も分かっている。国連改革をいうなら、常任理事国入りを策すより前に、真っ先に正すべきことだが、日本やドイツの首脳も、カダフィ氏がしたようにはそれを批判したりしない
▼誰もが思っているのに“大人”はそうは言えない…。何となく、あの童話で「王様は裸だ」と叫んだ子どもと大佐が重なる。
2009年9月30日
米国から見てイメージのよくないことで言えば、リビアの最高指導者カダフィ大佐は屈指の人物であろう。かつて「中東の狂犬」と呼んだこともある
▼確かに、少し前の国連総会“デビュー”も強烈だった。なにしろ初のスピーチで国連安保理を「テロ理事会」呼ばわりするなど、言いたい放題。持ち時間も無視しての長広舌は実に一時間半余に及んだ
▼米メディアは「たわ言」と言わんばかりの伝えようだったが、次の発言も実は大佐の演説の一部である。「国連では、大国も小国も平等だというが、常任理事国に拒否権がある安保理は平等か。ノーだ」
▼国連の実相を突く、何とももっともな主張である。拒否権は第二次大戦で勝利した大国の特権。その意味では、未(いま)だに戦勝国が敗戦国の領地を占領し続けているようなものだ。国連憲章前文にも「大小各国の同権」をうたっているのだから、なおさらである
▼もっとも、誰も言わないだけで、日ごろ掲げる民主主義の看板と明らかに矛盾していることぐらいは当の大国も分かっている。国連改革をいうなら、常任理事国入りを策すより前に、真っ先に正すべきことだが、日本やドイツの首脳も、カダフィ氏がしたようにはそれを批判したりしない
▼誰もが思っているのに“大人”はそうは言えない…。何となく、あの童話で「王様は裸だ」と叫んだ子どもと大佐が重なる。