中日春秋
2009年8月25日
一九五四年、大リーグのワールドシリーズ第一戦でそれは起きた。2対2で迎えたインディアンス八回の攻撃。走者一、二塁で、打球はセンター後方へ。抜けた、と誰もが思った
▼ところが、守るジャイアンツの中堅手ウィリー・メイズは果敢に背走、完全に体を後ろ向きにしたまま見事に捕球したのである。「ザ・キャッチ」として今なお称(たた)えられる歴史的美技。これで勢いに乗ったジャイアンツは延長で第一戦に勝利、シリーズ自体も制した
▼きのうの甲子園の決勝でも、それを彷彿(ほうふつ)させる美技が飛び出した。2対2の四回表、1死一塁で日本文理打者の一撃はセンターへの大飛球。中京大中京の岩月選手は背走し、完全とは言わないまでも、ほぼ向こう向きで、これを辛くも好捕した
▼野球はボールを投げて打つゲームだ。だが「捕る」が勝負を決める時がある。文理の驚異の粘りを振り切り、中京は四十三年ぶりの栄冠を手にしたが、あの打球が抜けて先に文理が勝ち越していたら、流れはどうなっていたか…。やはり“甲子園版のザ・キャッチ”かもしれない
▼それにしても、好守に限らず、好投も好打も全力疾走もミスも全部そろって、まるで甲子園の夏を一試合に凝縮したようなゲームだった。無論、きらきらした汗と涙も
▼球児らの熱がぶつかりあった大会もついに幕。何とはなし、秋の気配が濃くなった。
2009年8月25日
一九五四年、大リーグのワールドシリーズ第一戦でそれは起きた。2対2で迎えたインディアンス八回の攻撃。走者一、二塁で、打球はセンター後方へ。抜けた、と誰もが思った
▼ところが、守るジャイアンツの中堅手ウィリー・メイズは果敢に背走、完全に体を後ろ向きにしたまま見事に捕球したのである。「ザ・キャッチ」として今なお称(たた)えられる歴史的美技。これで勢いに乗ったジャイアンツは延長で第一戦に勝利、シリーズ自体も制した
▼きのうの甲子園の決勝でも、それを彷彿(ほうふつ)させる美技が飛び出した。2対2の四回表、1死一塁で日本文理打者の一撃はセンターへの大飛球。中京大中京の岩月選手は背走し、完全とは言わないまでも、ほぼ向こう向きで、これを辛くも好捕した
▼野球はボールを投げて打つゲームだ。だが「捕る」が勝負を決める時がある。文理の驚異の粘りを振り切り、中京は四十三年ぶりの栄冠を手にしたが、あの打球が抜けて先に文理が勝ち越していたら、流れはどうなっていたか…。やはり“甲子園版のザ・キャッチ”かもしれない
▼それにしても、好守に限らず、好投も好打も全力疾走もミスも全部そろって、まるで甲子園の夏を一試合に凝縮したようなゲームだった。無論、きらきらした汗と涙も
▼球児らの熱がぶつかりあった大会もついに幕。何とはなし、秋の気配が濃くなった。