領土問題に関心を持とう(自民党総裁選) | 元外交官が語る日本社会のあり方

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 自民党総裁選が始まり、メデイアを通じ立候補者の政策論議がオンパレードであるが、彼等の主張する政策を聞いて、今の日本をとりまく厳しい政治外交環境に鑑み、杞憂される点を指摘したい。

 まず、総裁総理の座につく者に必要な要素はしっかりとした国家観を持つことである。その意味にいて、4人立候補者の中できちんと国家観を述べているのは高市議員のみ。 同議員は安全保障と国防に対して「国の領土 領海を守り、国民の生命と財産を守る」と力強く主張し防衛費も現在の倍との考えを示した。何故かしら他の候補者は、この当たり前の事実に触れない。毎日、尖閣諸島をめぐる日本領海の侵犯を繰り返す中国に何も反応せず、日本の領土が奪われようとしているこの厳しい現実に一切言及しない。左派も右派だと言葉遊びで言い争っている時間はなく、今、大事な事は、悠久の歴史を有し、世界に誇りうる文化を持つ日本を如何に守り抜くかという事であり、自分の国を自分で守れない国には未来が無く、日本の同盟国たる米国の最近のアフガンにおける米軍引き上げの実状を見ても、結局はアフガンのように自分で自分を守れない国は米国は見放すわけである。

 インド太平洋に軸足を置こうとしている今のバイデン米大統領は、同盟国たる日本に暗に国防力強化を期待しているし、菅総理はバイデン大統領との面会の際に明確に日本の国防力強化をコミットしており、今が絶対と言って良いほど日本の国防力強化の道への絶好の機会であること日本人忘れるべきではない。法を守り、約束を守る国柄の近代的日本がこの国際約束を果たさないとすれば、勝手に約束を反故にし、歴史を自分に都合よく改竄する隣の国と同レベルになってしまうことを肝に銘じるべきであるし、日本がアフガンの二の舞を繰り広げては話ならない。その意味において日米同盟は極めて大事な関係であり、隷属的関係をきずき各国に債務の罠を仕掛けている中国に対し、民主的な統治、基本的人権、法の支配、言論の自由等21世紀の近代国家にとって近代国家たる所以を示す高度な哲学的理念を根っこに持つ国作りの重要性を強く示してゆく役割を日本は果たすべきであり、しっかりとした国家観の下、それをやりぬける候補者が次期総裁・総理となるべきは言うまでもない。

 立候補者の内、河野議員に至っては 河野一族が中国において太陽光パネルを作っており、中国との関係がぶすぶすであり、中国は、日本に対し、あるいは台湾に対し、否、世界に対し覇権を浸透させ 中国の影響力を広めようと、したたかにあの手この手を駆使しているにも関わらず、そのマイナス要因を勘案することなく市場だけを求めて進出している日本企業の姿にこれほど今の日本人の心を痛めるものはない。かつ、同候補はパワハラ問題等を惹起させており、以上の事実を踏まえると彼は日本の総裁になる上での矜持に欠け、改革、改革と言って呼び声は大きいが、仮に総裁になっても果たして如何なる方向に日本を改革しようとしてるのか不明であり、日本の将来が極めて不透明であり、これ以上に不安な要素はない。かつ、候補者の父親が出した従軍慰安婦問題に関するいわゆる「河野談話」が如何に日本の国益と名誉を傷つけたかを日本人は決して忘れるべきではない。

 当選3回組等の若手議員は目を大きく開けて 正しい情勢判断をし、今、日本を守り、更なる繁栄のために、日本が取るべきバランスの取れた政策を自問自答してもらいたい。今次総裁選での選択判断を間違えれば、彼等若手の次回の議員当選の可能性はなくなる事必定。とにかく国防を甘く考えると中国は本気で侵略してくること間違いなく、国破れて9条残ると言うみじめな日本の姿になってしまう危険性が高い。外交、外交と言うが、外交も国防力と経済力を背景に初めて強く出れることを官民ともどもしっかり認識し、この認識と理解の無い国が一挙に浸食されるのは現実と長い世界の歴史が示している通りである。

 過去の歴史に学び、現実を直視し、まっとうな判断を今次総裁選で議員、党員はすべきで、安易に単なる人気投票でないこと肝に銘じ、身を捨てて日本の国益をしっかりと守れる能力と意志(胆力)のある者が選ばれるべきである。今次総裁・総理の選出に関し、明治時代には格調高く、敢然と国難に対処したリーダーが存在した事実、そして彼等の存在が日本の名を高め、品格ある日本を世界に示した歴史を振り返り、そういう気概を持つリーダーの登場を期待したい。