The Silence of Lambs

 羊たちの沈黙  



 1991年・アメリカ映画。



 原作
 「トマス・ハリス」
 『羊たちの沈黙』1988年出版。

 監督
 「ジョナサン・デミ」

 脚本
 「テッド・タリー」

 音楽
 「ハワード・ショア」

 撮影
 「タク・フジモト」




















 出演
 「ジョディ・フォスター」
 (クラリス・スターリングFBI臨時捜査官)

 「アンソニー・ホプキンス」
 (ハンニバル・レクター)

 「スコット・グレン」
 (ジャック・クロフォードFBI行動科学課主任捜査官)

 「テッド・レヴィン」
 (ジェイム・ガンブ、ジャック・ゴードン、バッファロー・ビル)

 「アンソニー・ヒールド」
 (フレデリック・チルトン博士)

 「ケイシー・レモンズ」
 (アーディリア・マップ、FBIアカデミー研修生、クラリスの同僚)

 「ブルック・スミス」
 (キャサリン・マーティン、誘拐被害者)

 「ダイアン・ベイカー」
 (ルース・マーティン上院議員)




 テネシー州・メンフィス。
 
 クラリス・スターリングFBI臨時捜査官は、メンフィスの裁判所のフロアに造られたハンニバル・レクター用の特別独房に収監されているレクターと面会している。
 クラリスは、レクターがルース・マーティン上院議員に言ったバッファロー・ビルの名前、ルイ・フレンド、英語読みでルイスというつづりはアナグラム(言葉遊び)だと解っていた。
 硫化鉄で、愚か者の金と言われる、悪いジョークである。
 クラリスは、レクターに詰め寄ってバッファロー・ビルの情報を話してくれと頼む。
 レクターは、自分がおこなったプロファイリングのケースファイルの中に入っていると言う。
 レクターは、またクラリスに約束を守るように言い、今までで1番嫌な思い出を話すように促す。
 クラリスは、少し躊躇して静かに話し始める。
 彼女の父親が殺された後に、叔父の家に預けられたクラリス。
 彼女は、従兄弟たちと馬や羊を飼育する牧場で暮していた。
 ある夜、クラリスが目を冷まして外に出ていくと、彼女は子羊を屠殺(食肉にするために殺す作業)する光景を目のあたりにする。
 クラリスには、その時の子羊たちの悲鳴のような鳴き声が頭からはなれることはなかった。
 彼女の心の奥底に沈むこの記憶はクラリスのトラウマになる。

 別の日。
 クラリスは、彼女が可愛がってハンナと名づけた牝馬を逃がそうと、一緒に牧場を出て行く。
 一生懸命逃げるクラリスとハンナだった。
 しかし、クラリスは、見つかり捕まえられて牧場に帰ることはなく、孤児院に連れていかれる。そして彼女は子供時代をそこで生活した。
 クラリスは、今でも子羊たちの悲鳴が響く屠殺場の悪夢を見続けている。
 黙って聴いているレクター。
 レクターは、彼女の本当の苦しみをいつものようにちゃかす事もなく聴いてクラリスが本心を語ったことに感謝しているようだった。
 そして、レクターはクラリスにバッファロー・ビルの事件ファイルを渡した。

 クラリスが、帰った後の特別独房。
 レクターは、言葉巧みに看守を呼んで、彼に手錠をかけて拘束してなぶり殺す。

 警官隊が準備して、独房のあるフロアに突入すると、一人が独房の檻の上から吊るされている。凄まじい残虐な光景だ。
 そこにはレクターの姿はない。看守たちも絶命したと思われたが、一人の看守がかろうじて呼吸とかなり弱い脈があることを確認、その看守は顔が血だらけであるがレクターではないことだけははっきりわかる。
 警官隊は、急いで彼を運び出し救急隊員と交代して救急車で運ばれて行く。
 死にかけている看守だが、突然起き上がり、自分の顔の皮を剥ぐ。血だらけの顔は正しくレクターだ。
 彼は、看守の顔を剥いで自分の顔にへばり付けていたのだ。
 救急隊員も犠牲になり、レクターは救急車とともに姿を消した。



 クラリスは、同僚のアーディリア・マップの力もかりて、レクターの作ったプロファイリングを解読している。
 彼が、マークしている場所からヒントを見つけ出す。
 6番目に発見された最初の犠牲者、フレデリカ・ビンメルのことをバッファロー・ビルは知っていた可能性がたかいと結論づける。



 オハイオ州。

 クラリスは、フレデリカ・ビンメルの実家を訪ね、フレデリカの部屋を見せてもらっていると彼女は洋服の仕立てをしていた。 
 クラリスは、自分と同年代のフレデリカの部屋を細かく観察する。
 作りかけのドレスと、そのドレスのドレスパターン(型紙)を観ている。
 クラリスは、あることに気付く。
 これは、バッファロー・ビルが、6人の女性からそれぞれ剥いだ皮膚の形がこのドレスパターンと同じであることに気付いた。
 ということは、バッファロー・ビルは女性の皮膚を剥いでいる目的は人の皮膚でフレデリカのデザインしたドレスと同じ物を作ろうとしている。
 バッファロー・ビルもフレデリカと同じ仕立て屋の可能性がたかい。

 クラリスは、直ぐにクロフォードに電話をして、バッファロー・ビルの殺人動機が分かったと伝え、彼は女性の皮膚で人間スーツを作ろうとしている。
 その時、クロフォードはレクターのファイルのメモにあった人物でクラリスが調べた男と同一人物、ジェイム・ガンブが、捜査線上に上がり、彼の家に向かっていた。
 ジェイム・ガンブは、トランスジェンダーで女性になりたいと性転換手術を希望していたが、彼の主治医が頑なに認めず手術の許可を出さなかった。
 彼も仕立て屋をしている。



 イリノイ州。

 クロフォードとFBI  HRT  Hostage Rescue Team(HRT)FBIの人質救出のスペシャル・ユニットが、ガンブの家を急襲する。
 (クラリスがいるオハイオ州)同じ時間、クラリスはフレデリカの知人でガンブとは別人の仕立て屋の家のドアをノックする。
 HRTとクロフォードは、ガンブの家のドアをぶち破り、中に入るが誰もいない。
 クラリスは、ジャック・ゴードンというフレデリカの知人の家に入っている。彼にフレデリカのことを聞くためだ。
 部屋の奥に入るとクラリスは、スミソニアン博物館で標本を観た『死の頭』という蛾の成虫が部屋の中で飛んでいるのを見る。
 クラリスは、その瞬間、ピストルに手をかけて臨戦態勢をとる。
 彼女は、この男がジェイム・ガンブでバッファロー・ビルだと確信する。
 クラリスは、ガンブに「フリーズ」動くなと言うが、彼は部屋の奥に逃げてしまう。
 クラリスは、部屋を捜索して地下にあるウブリエット(地下牢)にキャサリン・マーティンが生きていることを確認する。
 キャサリンもクラリスに必死で救けを求めるが、今は危ない状況なので彼女を落ち着かせる。そして、直ぐに救けだすと言った。
 すると部屋のライトがおとされて真っ暗になる。
 ガンブは暗視ゴーグルを付けてクラリスに近づいて彼女を追っている。
 ガンブが、クラリスをロックオンしてリヴォルヴァーのHammer(撃鉄)をおこし、姿を見せた瞬間、クラリスはガンブに向けてシュート(撃ち込む)する。
 クラリスの射撃は見事でガンブを射殺した。
  


 バージニア州・クワンティコ。

 FBIアカデミーの卒業パーティで、クラリスは電話を受ける。
 ハバナのビミニ空港にいるレクターからだ。
 レクターは、クラリスに子羊たちの叫び声が止まったかたずねる。
 クラリスは、答えない。
 レクターはクラリスに君を追いかけたり傷つけたりしない。だから、私にお返しをしなさいと要求する。
 クラリスは、そんなことは出来ないと言った。レクターは「夕食に古い友だちを招く」と言って電話を切った。
 ビミニ空港に到着したばかりの人たちの中にチルトン博士がいる。
 レクターは、人混みの中、彼のあとを追う。・・・


 クラリスは、安らかにベッドに横になって眠る。しばらくは子羊たちの叫び声は聞こえないだろう。羊たちも沈黙している。・・・

 これは小説のエピローグです。



 ※小説の面白さをきちんと表現している素晴らしい作品です。
 僕は小説はレッド・ドラゴンが好きで、映画は羊たちの沈黙が好きです。
 このストーリーは、僕の記憶が混ざって、たぶん小説のエピソードが多くあると思いますが、なぜ、小説のタイトルが羊たちの沈黙になったかは、このストーリーを読んだほうがわかりやすいと思います。