Dressed  
 to  Kill

 勝負服(スラング)

 殺しのドレス  



 1980年・アメリカ映画。




 脚本・監督
 「ブライアン・デ・パルマ」

 音楽
 「ピノ・ドナッジオ」

 撮影
 「ラルフ・ボード」





















 出演
 「マイケル・ケイン」
 (ロバート・エリオット博士)

 「アンジー・ディキンソン」
 (ケイト・ミラー)

 「ナンシー・アレン」
 (リズ・ブレーク)

 「キース・ゴードン」
 (ピーター・ミラー)

 「デニス・フランツ」
 (マリノ刑事)




 性的に欲求不満の主婦、ケイト・ミラーは、ニューヨーク市内の精神科医のロバート・エリオット博士のセラピーを受けている。
 ケイトは、医者のロバートを誘うが、彼は自分には家庭があってそれを壊すことはできないと断わる。



 時間を持て余したケイトは、一人でメトロポリタン美術館に行く。
 すると、ミステリアスな中年男性と出会う。
 ケイトは、自分の衝動を抑えられず彼を追いかける。
 ケイトは、タクシーに乗っている男性のところまで追いかけていくと、その男性が突然、ケイトをタクシーにひきづりこみ抱く。
 
 そしてアパートまで行ってセックスをする。

 数時間後、ケイトは起きるとその男性を起こさないよつに部屋を出ようとするが、その男性が性病である。と書かれた書類をみつけてショックを受ける。
 それでも部屋を出ると、ケイトは、結婚指輪を忘れていることに気づく、ナイトスタンドにおいたはずだ。

 彼女は、戻ってエレベーターに乗ると、中ではブロンドの長身の女性がいて突然、ケイトにカミソリを振り上げて、襲ってきた。ケイトは、防御するが手も斬られあらゆるところを斬られる。そして最後は急所を斬られた。
 そんなおぞましいエレベーター内の惨劇をカーブミラー越しに見ている女性がいる。
 その女性は、高級コールガールのリズ・ブレークである。



 ロバート・エリオット博士の所の留守番電話に彼を罵る声がする。
 トランスジェンダーの患者のボビーからのメッセージで、ロバートがボビーの性転換手術のサインをしないので手術ができないからあんたの診察はやめて別の診療所にいくとのことだ。

 ロバートは、新たな医師のレヴィ博士にボビーはとても危険だと説明している。




 警察署のマリノ刑事のオフィスに、高級コールガールのリズ、ブレークがいる。この間のエレベーターの刺殺事件のことだ。
 リズの職業が高級コールガールであることからマリノ刑事は彼女の話しを信用していない。
 リズは、母親を殺され、復讐に燃える息子のピーター・ミラーといっしょに調査を始める。ピーターは発明家でカメラなどの電子機器で犯人を追っていく。
 ピーターとリズは、犯人であろうブロンドの長身女性の存在を確認した。

 
 
 ロバート博士のオフィスに来ているリズ。
 彼女は、ボビーのデータを盗み見ようと、ロバートを色仕掛けでなんとかしようとしている。

 ロバートが席を外すとリズが書類を調べだす。するといきなり、ブロンドの長身の女性がリズのいる部屋に入って彼女に襲いかかる。ピーターも飛び出して来て、もみ合いになる。
 もうひとりのブロンド女性が入って来てボビーを撃った。
 撃たれたボビー。
 エリオットは、ボビーのブロンドのカツラをとると犯人は、ロバート・エリオット博士だった。
 そして、もうひとりのボビーを撃った女性は、リズを追ってきた女性警察官であった。




 ロバート・エリオットは逮捕された。
 レヴィ博士が、リズにロバートがトランスジェンダーで女性になりたかったけれどもうひとりの人格のロバートが拒否して自身の人格が分離していった。
 そして、ロバートを誘惑する女性に対して嫌悪するボビーの人格が誘惑する女性たちにむかい攻撃したと説明している。



 ロバート・エリオット博士は、入院先の病院の看護師を絞殺して病院を逃げ出した。
 そして、恨みをもっているリズ・ブレークのところに来る。
 リズの喉を切り裂くロバート。
 リズは、叫んで起き上がる。
 悪夢であった。
 しかし、リズはあまりの恐怖から夢と現実の区別がつかなくなり恐怖におののいている。
 ピーターは、リズを落ちつかせるため急いでリズのもとに向かっている。・・・



 ※『殺しのドレス』は、スリラーとしてとても優れているかというとそうでもないが、アルフレッド・ヒッチコックの名作『サイコ』のオマージュである本作は、ブライアン・デ・パルマ監督お得意の映像で魅せるエロティックの映画です。
 主演の「アンジー・ディキンソン」は、ウエスタンの『リオ・ブラボー』で有名になり、美人女優としてスタートしますが、鳴かず飛ばずの状態でしたが、50歳の手前で『殺しのドレス』の汚れ役をセクシーにスラングでは『M.I.L.F』マーフ(熟女)の代表のようなセクシーな演技で見事に復活しました。
 本人も本作を代表作だと言っています。
 アンジー・ディキンソンのシャワーシーンは、ブライアン・デ・パルマの見事なショットとカッティングでアンジーが裸になっているように撮影していますが、アンジーのアップとスタンド・イン(身代わりの裸の女性)を同じ姿勢で撮って編集して一人の女性に見せるテクニックを使いました。
 アメリカの映画用語では、このスタンド・インを「Body Double」ボディ・ダブルといいます。
 このアンジー・ディキンソンのシャワーシーンは、ハリウッドでも話題になり、映画用語であるボディ・ダブルが一般の観客に知れ渡るぐらい有名な言葉になりました。
 そして、この言葉『ボディ・ダブル』が1984年のブライアン・デ・パルマの作品名になったのは有名なエピソードです。