ホーム&アウェーレス
UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝1stレグ、インテル-シャルケ04は誰もが予想できない展開になった。
昨季王者のインテルがジュゼッペ・メアッツァで2-5の大敗。奪われたアウェーゴールは5点。これは折り返しのアウェーで逆転するにはあまりにも重い結果だ。序盤20分でつかんだイニシアティブは同点に追いつかれ、シャルケに自信を与えてしまう。その後も決して悪い流れではなかったが、2-1から再び同点にされると、一気に悪い流れに。ラウルの見事な反転シュートを決められ、2-3と逆転された時点で、スタジアムの雰囲気もピッチ上の選手の雰囲気も一気に覇気をなくしてしまう。挙句の果てにはキブがまたしても退場。そしてスタジアムは沈黙。そして5点目を献上。昨季王者は、自らその座を維持することを諦めてしまったような雰囲気だった。
かつてのヨーロッパカップ戦は、ホーム&アウェーが根強く、所詮アウェーならとにかく失点をしない戦い方、そして折り返しのホームで手堅く勝つと言った手法が主流であった。ゆえに、アウェーゴールアドバンテイジが設定されたが、ここ2~3年は、そのホーム&アウェーの概念が崩れてきている。
私なりの理由を考えたが、やはり一番はスタジアムの雰囲気にあるような気がする。
以前はホームでの試合、特にイタリアやスペインのホームゲームは殺気立った雰囲気が売りで、アウェーサポーターは肩身の狭い、もしくは行くことを拒むほどのものであった。しかし近年のヨーロッパは徐々にボーダーレス化が進み、選手の国籍の多様化も相まって、アウェーのプレッシャーをそれほど感じるものではなくなった。根気のラウンド16のシャフタールは、スタディオ・オリンピコで3点を挙げ、快勝。インテル-バイエルンも、互いにアウェーで勝利。トッテナムもアウェーでの勝利がベスト8へ導いた。
日本は雰囲気的にも、スタジアムの質にしても、ホーム&アウェーの理念がそれほどないと言われていた。しかし、今や日本だけではなく、ヨーロッパのトップクラスでも確実にその概念は崩れている。むしろ、環境面などからAFCチャンピオンズリーグの方がアウェーは過酷なものだ(現時点でACLで日本チームのアウェー勝利がない)。
Footで幸谷氏が同様の事を口にしていたが、今季のUEFAチャンピオンズリーグからそれは如実に感じることだ。もはや、ホームだから攻めて、アウェーだから守ると言う戦いは時代遅れといえよう。そう考えると、ゲルゼンキルヒェンでの折り返しも、インテルの底力を考えると、面白い試合にはなりそうだ。
最後になるが、この試合UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメントで初の日本人対決が実現した。と言っても、長友が出場したのは80分近くになってからで、特に激しい競り合いもなかったが、記録には残る。特に、この日の内田のクロスは光るものがあった。内田の素晴らしいクロスからラウルがヘッドで合わせ、ポスト脇へ外したシーンがあったが、ラウルがピッチを叩き悔しがっていた。百戦錬磨のラウルをそこまで悔しがらせるほど、内田のあげたクロスは素晴らしいものだった。十分欧州4強に値するプレーだった。
Boa Sorte a Japão!
翌日の新聞やスポーツニュースではカズの名前ばかり踊っていたが、これほど大きな感動を呼んだのは、ゴールの決め方にある。
たとえば、PKだったら、周りが気を使って、さらにチャリティーマッチと言うことで絵になる男、カズに蹴らせるというのがあるかもしれない。フリーキックだったら、『カズが蹴ったら面白い』と言った期待感がスタジアムやテレビの前から漂うだろう。
しかし今回のゴールは2点ビハインドしながらひたむきにゴールを狙う一人の男のゴールだ。試合で言えば、後半36分。諦めが出る中で、ただゴールを狙ってゴールへ一生懸命走っていたカズのゴールだ。それが闘莉王のパワープレイ参加もあり、感動を呼んだのだ。
今の日本は諦めるのか。
事態は天災から人災に変わろうとしている。一企業の愚かな対応で福島の人々を、そして国民全ての生活を無茶苦茶にしようとしている。しかし、ここで日本全土に停滞感が生まれたら、本当にこの国は終わってしまう。私自身も身体健康なら今後40年以上続く人生が、ダメになってしまう。
しかしカズは教える。
『諦めてはダメだ』
0-2から魅せたカズのゴールは被災地だけでなく、全国に勇気を与えたであろう。だから、我々は無駄な買占めやデマを流さず、目の前の我々のゴールに向かい走り続ければいい。そして、疲れたら少し休もう。
日本の誇り
インテル・長友佑都が激励。
長友はUEFAチャンピオンズリーグRound16の2ndレグ、アウェーでのバイエルン戦に残り約5分のところで途中出場。エトーにロングパスが入った際、猛烈なスピードでゴール前に進出し、エトーのスペースを作り、エトーからパスを受けたパンデフが見事に決め、インテルが準々決勝進出を決めた。
先週にはシャルケ04が準々決勝を決めているので、これで2人の日本人選手がUEFAチャンピオンズリーグのベスト8に進んだのだ。これは日本サッカー界にとって素晴らしいことだ。
今日本は、日本サッカー界はこれまでにない試練のときを迎えている。海の向こうにいる選手たちは、それをただ眺めることは絶対にない。自らのプレーで励まそうと皆が頑張っている。日頃以上の力を彼らは出しているのだ。誇り高きプレーヤーたちだ。

