「好き」であっていけない | 湘南の建築家のひとりごと

「好き」であっていけない

建築の設計をするということ。
この職業、自分自身においてとても感謝している。

あたりまえのことだが、注文建築であるからどれ一つとして同じではない。
その毎回が白紙から始まる環境は数ある職種のなかでも、それほど多くはないと思う。

ましてや、二次元から始まって三次元へと到達するまでの往来も含み
想像や発見が顕著に具体化してくることへの感嘆は毎回必ず得ている。

とても感謝している。
それは、設計を与えてくれる相手。お客様がいるからこそ
対話が生まれ、発想や想いが現実となってくれるのだ。

このような感謝の「毎回」に対して自分の設計への取り組み方を改めて考えている。

それを一つの言葉で表現するなら「好き」であってないけないのかなと。

一見、過激な表現だが真摯な心構えの表れなのだ。

「設計が好き」
これは言い換えればその行為だけに満足して完結してしまわないか。
想像や発想が多くを占める最初の段階でこれに陥ってしまうと、とても偏った自問自答となって
着地点を誤ってしまう気がする。
そして、それが恒常的になってしまうのではと思う。

本来、設計をすることはお客様のための行為である。
発想やセンスに共感していただき、御依頼の機会がある。でもそこから先はお客様への
設計行為であることを再認識しなければと思う。

「設計が好き」という言葉に甘えて、相手の存在や想いを置き去りにしてはいけない。



だからといって目を吊り上げてストイックに。
そんなことはまったく無し。
あくまでもお客様の想いに対して、柔軟さをもった姿勢で受け答え、それを設計していく。
そして、毎回が新鮮で特別なのだという意識を忘れずに取り組むことを忘れてはいけない。

それには、戒めもこめて「好き」という言葉に頼ってはいけないなと考えている。






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