静かな住宅街の路地裏。
そこに隠れ家バーはあった。





オレンジに照らされたマンションの地下をおりると、ガラス越しに店内が見える。
カウンター席のみの店内は、カップルやグループで賑わっている模様。
お一人さまにとって、カウンター席はハードルが高い。



一瞬ためらったが、彼女は勇気を振り絞って扉を開けた。
今宵はクラブジャズのDJプレイを楽しみたいのだ。



扉を開けたがジロリと見るひともなく、みな楽しそうに談笑している。
お店のスタッフにひとりで座れる席があるか訊ねたところ、DJブースの前を指差した。



彼女はテキーラサンライズを片手に店の奥に進み、DJブース前に座った。





体でリズムをとりながら音楽に身を委ねる。
30分ほどでDJ交代。



テキーラサンライズを飲み干し、席を立った彼女は、店を出るのかと思いきや、DJブースからカウンター席に移動したDJの前で立ちどまって、こう言った。



「お久しぶりです。覚えてますか?」



この女はいったい何者なのだ?
緊張感が走る。



「○○学校の同級生ですょ。」



それでも彼はぽかんとした表情。
彼女が名前を名乗ると「わぁ~~思い出した」といって右手を差し出してきた。



ビミョ~。。



学生時代から変わってないね、といつも言われていただけに。