彼女からの手紙 | THROUGH MY FINDER

彼女からの手紙

「夜の四十万に声を聞きます
それは誰の声でもなくて、わたしの本当の声なの

空を見上げてみると、まばらな雲が月明かりに照らされていて
夜の空に浮かんだ羊の群れのようにも見えて
その雲に見え隠れする星があちらこちらに散らばってる
わたし星座なんてろくに知らないし、勝手に繋げてみせるの
そしたら声が聞こえるの、それはきっとわたしの本当の声なの

さっきまでは風も吹いていなかったのに、今風がどこかしらから吹きたって
月明かりでかすかに色を手に入れている木々の梢が大きく揺れて
葉がこすれ合う音がたてるの、まるで息を吹き返したように
そしたら声が聞こえるの、それはきっとわたしの本当の声なの

何にかき乱される訳でもなくて、嘘偽りもなくて、澄んだわたしの声は
こんな夜にしか聞けないのかな

今は星も繋がっていないし、風もやんで、夜の四十万にわたしの声は消えてゆきます

もうわたしの声は聴こえなくなったけれど、わたしの中で山びこがのように
かすかに響いてる

そしてわたしはゆらゆらと揺らされるのだけど、
本物か偽物かわからないわたしに戻っていくのです。」