むき出しの内蔵を持った男 | THROUGH MY FINDER

むき出しの内蔵を持った男

剥き出しの内臓を持つようになったら、人と接することを恐れるようになった。
そして僕は生粋の露出魔である。それはどうしようもない事なのだ。

僕は露出魔であるから、自分のコートを人の前で脱ぐ、そしてむき出しの裸を他人に見せようとする。
裸ではあるが、その裸も他人とはちがう、内臓がむき出しなのだ。

血と細胞液によって潤った内蔵が照明の光を反射させて、その隙間からイチゴジャムのような、なにやらわからぬものを垂れ流している。他人はそれを見て恐れて逃げてゆく。

僕は逃げる人の背中を観ながらまた深い傷を内臓に刻み付ける。そして、先ほどの粘液はまたその傷口からにじみ出て糸を引きながら垂れ流されるのである。
僕は露出魔であるが、それによって興奮するというたぐいの一般的な露出までは無い。露出してこうした事など一度も無い、むしろ苦痛だった。ただ露出する事が辞められないのである。

コートを脱ぎ捨てなければよいのだが、僕はやはり露出魔なので、どうしても人と会うと
露出してしまうのである。救いようが無いことは自分でもわかっている。でもどうしても
やめられないのである。

僕は自分自身をこの世の中から失ってしまわないように、苦痛から逃れる為に、このように、深い森の中、たった一人で生きることににした。傷もずいぶん癒えてきた。だが内蔵は剥き出しのままだ。この内蔵が分厚い皮に覆われるのはいつの日か。分厚い皮に覆われた時、露出することもなくなるだろうか。
どうであれ僕の人生は続くのであるが。
今日の晩ご飯はイノシシの照り焼きだ。