旅の記憶(ま) | digital is museum.

旅の記憶(ま)

熱が出ている。
気だるく眠りながら、記憶をたどる。
夢を何度か見る。

旅に行くことを決めた理由は、
仕事の悩みなんかじゃなかった。
モラトリアムだったのは「心」だ。

友人という立ち振る舞い方を学習する目的で
(距離を感じる行動も、
 合う頻度が下がった視線も、
 できれば聞きたくなかった発言も)
どれもやりきれなかったけれど、まさに実りある旅だった。
君の行動はすべてありがたかった。

touro

北へ舞台を移す意味も大いにあった。
伴う痛みは、広大な空や草木が慰めてくれた。
大自然の中で、私の痛みのちっぽけさを思い知らされる。

キャンプの焚き火のように、
毎日、胸の火がくすぶってないかの確認をしてから、
静寂の暗闇の中で眠りについた。

手が届くところにいるのに、伸ばせない事実が
(正確に言うと、伸ばせたとしても意味合いが異なる)が
そこにあることも、精神衛生上とても都合が良かった。


夜はまるで秋のような冷たい風。
肌で季節の移ろい、夏の終わりを実感した。
そうして湿原のように歴史を重ねていく・・・人生そのものだった。
私はここに人生の縮図をみたんだ。
皮肉な話だが、目指しても達成できない大局が存在する。

しかし、失望を集めて、次への希望が作れることの意味を知る。
この旅のような経験はまたとないはずだ。感謝をしたい。

けっして、楽しくなかったわけじゃない。
充実した、かけがえのない素晴らしい時間だった。
涙なしには、思い出せない。
ただそれだけだ。