ある街にある河の草むらに仲良し4人組のクローバーがいました。

一人は四つ葉のクローバーで、三人は三つ葉のクローバーでしたが、
そんなことは関係なく四人はいつだって仲良しでした。

その河原に、ひとりの女の子が歩いてきます。
女の子は、仲良し四人組の方見ると、

「あ!こんなところに四つ葉のクローバーがある!」

女の子は嬉しそうに四つ葉のクローバーを摘み取ると、
向こうへ行ってしまいました。

「やっぱり、四つ葉君はかっこいいからなぁ」
一人の三つ葉のクローバーがつぶやきました。

「まあねぇ」
一人の三つ葉のクローバーが答えました。

それを聞いたもう一人の三つ葉のクローバーが言いました。
「・・・それなら、僕の葉っぱをあげるよ」

それを聞いた二人の三つ葉のクローバーは、驚いてその三つ葉のクローバーを見ました。
見ると、もう自分の葉っぱを取ると、二人に差し出しています。

「でも・・・、本当にいいのかい?」
二人のクローバーは戸惑いながらたずねました。

「もちろんさ。
 僕は、みんなが喜んでくれることが嬉しいんだ」

そう言うと、本当に嬉しそうに笑いました。

こうして二人は四つ葉のクローバーになることができましたが、一人は一つ葉のクローバになってしまいました。

そうしていると、さっきの女の子がまたやってきました。

「あっ!また、四つ葉のクローバーがある!今度は二つも!」

そう言うと女の子は、四つ葉になったばかりの二人を摘み取りました。
摘み取られた二人は、嬉しさも忘れ、残された一つ葉のクローバーを心配して振り返りました。

一つ葉のクローバーは、一人ぼっちになりましたが本当に嬉しそうに笑っています。

それでも、二人の四つ葉のクローバーは、悲しくなって泣きました。


すると、その声が女の子に聞こえたのかもしれません。

「あれ?一つ葉のクローバーなんて、めずらしいな」
そういうと、女の子は、一つ葉のクローバーも摘み取りました。


今、四人はというと、女の子の家のベランダに置かれた可愛らしい鉢植えにいます。
三人は四つ葉のクローバー、一人は一ツ葉のクローバーですが、四人はそんなことは関係なくいつだって仲良しです。




ある夜、のぼるくんの家のガレージでなにやら話し声が聞こえました。

話をしているのは、どうやらのぼるくんがいつも乗っている自転車の部品たちでした。

前のタイヤが得意そうに言いました。
「一番えらいのは、僕さ。僕がいるからみんなは左に曲がったり、右に曲がったり、もちろんまっすぐにだって進めるんだから」

後ろのタイヤが、少し怒っていいました。
「なにを言ってるんだい?一番は僕さ。僕がいるからみんなは前に進めるんだよ。」

すると今度は、チェーンが言いました。
「それだったら僕のほうがえらいよ。僕がいないと後ろタイヤさんだって前には進めないでしょ」

すると今度は、ペダルです。
「いやいや、だったら僕でしょ。僕がいるから前にすすめるんじゃないか」

みんなが言いたいことを言っています。
ブレーキも、ハンドルも、サドルも、みんな自分が一番だと言い出しました。


「ちょっと待ってよみんな!」
ライトが大きな声で言いました。
「僕は自分が一番だなんていえない。だって僕は、昼間はあまり活躍できないからね。」

それを聞いた前のタイヤがいいます。
「そりゃそうさ、君は明るいときはおやすみだろう」

でも、ライトは何も聞こえないように話を続けました。
「でも、僕がいるから、人は夜にだって安心して自転車に乗れるんだ。僕は、僕の仕事がとても大切だと思っているよ。でも、僕だけいても何の意味もないただのライトさ。みんなだってそうだろ、タイヤさんもハンドルさんもブレーキさんも、みんなでひとつさ、一番も二番もないんじゃないかな」

それを聞いたみんなは、自分が言っていたことを恥ずかしく思い黙り込んでしまいました。

「・・・あのー、ぼくもみんなと一緒かな?」
前のかごが、ちょっと不安げに尋ねました。

「もちろん!みんなでひとつさ」
前のタイヤは、ちょっと照れて答えると笑いました。

みんなも前のタイヤと一緒になって笑いました。
空に大きな雲が浮かんでいます。

雲から、一滴の水が飛び出してきました。

「あっ!」

飛び出してきた水は、自分のしたことに驚いて大きな声を上げましたが、そのまま地面に向かって落ちていきます。

今日は夕方からみんなで雨になる予定でした。でも太陽は、まだ頭の上にあります。
飛び出した水は、間違えて予定よりずっと早く雨になってしまったのです。

「また、やってしまった・・・・」

飛び出した水は、この前も、予定よりずっと早く雨になってしまったばかりでした。

「またひとりぼっちか」

ひとり飛び出してしまった水は、悲しくなってきました。

それでも、どんどん地面は近くなります。
地面には、ひとりの男の子が歩いています。

飛び出した水は、一人ぼっちが悲しくて、とうとう泣き出してしました。
「みんな・・・さびしいよぉ」
それでも、どんどん地面は近づきます。

飛び出した水は、どんどんとその男の子に近づくと、その子のおでこにポツリとあたりました。
「?」
男の子は、空を見上げました。

すると、空から、突然大雨が降ってきたのでした。
男の子は、おどろくとあわてて走り出しました。

飛び出した水も、驚きました。
だって今日は、夕方から雨になる予定なのに、みんなが雨になって降ってきたからです。

「みんな・・・なんできたの?」
飛び出した水は、聞きました。

「お前がないてるからだろ」
みんなが答えます。

「みんなありがとう。」
飛び出した水は、笑って涙をぬぐいました。

男の子が家につくころ、もう雨はやんでいました。
そして空には、とてもきれいな虹がかかっていました。

みなさんも、天気予報が外れて、突然の雨に困ったことがありませんか?
もしかしたら、あわてんぼうの雨と、友達思いの雨がいたのかもしれませんね。。