年末になると毎年断捨離をしている

クローゼットや棚を整理して、「これはもう使わないな」と思うものは、できるだけ手放すようにしている。

それなのに、どうしても毎回手が止まるものがある。


中学受験で使った教科書や問題集、プリントの束。
あんなに頑張った日々の証を、簡単に消してしまっていいのだろうか。
でも現実には、物は増える一方で、もう使うことはない。
「思い出は心の中にあればいい」
そう自分に言い聞かせて、これまでは判断を先送りにしてきた。


最近になって、ふと
「もう捨ててもいいのかもしれない」
と思えるようになった。
時間が経ったからなのか、私自身の気持ちが少しずつ整理されてきたからなのか。


初めて、息子に聞いてみた。
「中学受験のときの教材、捨ててもいい?」
返ってきた答えは、迷いのないものだった。


「塾からもらったものは、全部捨てたくない。」

数年経った今でも、あの時間は息子の中にちゃんと残っている。
努力した記憶、踏ん張った日々、自分なりに戦った証。
それは、私が思っている以上に大切なものだった。
やっぱりそうか、と少し笑ってしまった。
母の判断だけで処分しなくてよかった。
思い出は、減らさなくていい。
場所を取っても、埃をかぶっても、
あの時間があったことを、形として残しておくのも悪くない。


今年の断捨離では、
中学受験の教科書たちは「残す」に分類することにした。