米イラン間の仲介役を買って出た安倍首相への懸念 | 安濃爾鱒のノート

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これは web log ではありません。
なんというか、私の「ノート」です。

 米国とイランの間の紛争の解決へ向けて安倍首相が仲介役を買って出て、頑張っておられる。

 それには、世界は感謝すべきであり、実際、特殊な人達(:普段から何がなんでも安倍首相を罵倒している、所謂「アベノセイダーズ」)以外は、大体、安倍首相を肯定的に評価しているようだ。

 

 まぁ、そうなんだろう。

 ちゃんとした「大人」なら、そう考えるものなのだろうが ...

 

 私としては、「アベノセイダーズ」みたいな連中と一緒にされたくないので、これについて否定的なことを書くのは気がのらないのだが、それでも、ちょっと書き留めておきたいことがある。

 

 まずは、交渉が始まる前から言われいている、「日本は(或いは、安倍首相は)、米国とイランの両方から "仲間" と認識されているから、仲介役に適任」という件から。

 両方から "仲間" だと期待されているということは、両方から 騙された・裏切られた、と恨まれ憎まれるようになるかもしれないということなのではないのだろうか。

 双方に「いい顔」をするより、「旗幟を鮮明にする」 "Show the Flag" というやり方の方が安全なのではないだろうか。

 

 そして、イランの国内のごたごたに巻き込まれるという懸念の問題も書いておきたい。

 イラン政府の主流としては、経済制裁が効いていてかなり辛い状態が続いているので、(キリスト教国ではない)日本が仲介してくれるというこのチャンスを活かしたいと思い、実際、かなり思い切った譲歩案を提示した。
 ところが、イラン国内には、それを快く思わない非主流派が居る。無責任な立場から対米徹底抗戦を唱え続けているのだろう。彼らは、日本については、「仲間と思っていたらやっぱりアメリカの手先か!」自国の主流派については、「国を売るケシカラン奴ら」と思っているのかもしれない。
 そして、そんな連中にも、「敵の敵は味方」理論で力を貸すところがあって、仲介役を買って出た日本のみならず広く国際社会を動揺させる行動ができてしまう。

 

 今回、何故 安倍首相がこんな役割を引き受けたのか判らない。

 Trump 米大統領に "貸し" をつくるためだったのかもしれない。

 

 この手の事(:国際紛争の仲介役)は、米英仏のような、国の存続の為に「きれいごと」を言い続け、そして、たまにはその言葉に見合う行動をしなければならない国の政治家に任せておけばよかったのかもしれない。フランスは、自国を束ねて維持するには、本当はめちゃくちゃなことをやったフランス革命を強引に美化するために「人権思想発祥の国」という美化した自己イメージを守り続ける必要があり、世界に向けてきれいごとを言い続け、そしてたまにはその言葉に見合う行動をしなければならない。他でもないフランス自身の為にそれをし続けなければ、国を維持できない。それは英米も同様。(英国の場合は「民主主義発祥の国」、米国は「自由と民主主義を求めて新大陸にやってきた人たちが作った理想国家」という、歴史的事実に反する異常に美化された虚構の自己イメージ)

 国際紛争の仲介役なんて、両方から恨まれたりするんだから、米英仏のような、自分の都合でそういうことをせざるを得ない国の政治家に任せておけばいいのではないだろうか。

 

おまけ

 

 北朝鮮への経済制裁を完全に成立させるための、日本海での「瀬取り」の取り締まりに、英仏の海軍が協力している。
 英仏は、元々、朝鮮半島情勢には興味はなかった。しかし、イランと北朝鮮が(やはり「敵の敵は味方」理論で)協力し、イランが北朝鮮から核弾頭と弾道ミサイルを買えば、英仏はその射程内に入るので、それを阻止するために、英仏海軍が北朝鮮締め付けの瀬取りの取り締まりに協力することになった。
 で、今回、安倍首相は イラン から、核兵器を持たない、という譲歩案を引き出したようだ。
 これって、日本にとっては、余り有難くない話なのかもしれない。