合衆国憲法修正第2条の起源が示すもの | 安濃爾鱒のノート

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これは web log ではありません。
なんというか、私の「ノート」です。

 米国の学校で、また、銃乱射事件が起きた。 (2月14日、フロリダ州ブロワード郡パークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校 / Marjory Stoneman Douglas High School in Parkland,Broward County,Flordia

 

 銃乱射事件が起きる → 祈りの集会 → 論争 → 時間が過ぎる・政治家はなんの措置も取らない

→ 銃乱射事件が起きる → ...

 

これが、ずーと繰り返される。

 

 この不思議な現象を説明するのに、いつも登場するのが、

  全米ライフル協会(National Rifle Association of America、NRA)
という団体。 (→公式サイト)

この団体が、非常に力をもっていて、銃を規制する法案を阻止している、というのだ。

 

 本当にそうなのだろうか?

 2017年の NRAの ロビー活動費は $480万ドル。(ソースは "opensecrets.org"

米国の大企業(:AT&T, Google, Microsoft, etc)のロビー活動費は、概ね、これより一桁多いが、国中で議論が沸き立っているような問題で 自分にとって都合の悪い法案を阻止するという「成果」を上げているわけではない。

 

 毎度毎度、銃乱射事件が起きる度に、銃規制を求める大規模なキャンペーンが起きるが、その影響を無効化できるくらいにNRAの政治力が強力なのだろうか?

なんか、信用できないと思う。子供だましの説明だと思う。

 

 本当は、多くの国民、Silent Majority が、本音では銃規制に反対していて、NRAや政治家たちがそれを汲みとって行動しているのではないのだろうか?

 

これを読み解くカギは、銃規制の新法制定の障害となっているものとしてよく名前が挙げられる

 合衆国憲法修正第2条 (The Second Amendment to the United States Constitution)
の 制定の経緯であろう。

これは、合衆国憲法制定(1787年)から4年後の1791年に追加された条項で、その内容は以下の通り:

規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を保持する権利は侵してはならない
A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed.

この 合衆国憲法修正第2条 が制定された経緯を調べてみれば、

 

  ジョージア州・両カロライナ州などの南部の州で、

  黒人奴隷のオーナーである白人たちによる、

  黒人奴隷の反乱を予防・鎮圧する武装組織を合法化する措置

 

だったという。
(ソースはこちら)


 奴隷制度は、米国の建国史上の重要な柱の一つ、そしてもう一つの重要な柱として、先住民を騙し殺して土地を奪った開拓史というものがあって、これら、先住民や元奴隷による報復への恐怖から Silent majority は 銃所持を欲しており、NRA や政治家たちはそれを読み取っている。

 「開拓」する側だった人・奴隷のオーナー側だった人の子孫が majority である間は、ずーと、銃乱射事件が続く、ということかもしれない。

 

 また、銃規制を求める人達 と 銃規制に反対する人達 を比べてみて、古いメディアでは、前者を「善人・賢明な人」、後者を「愚かな人」というレッテルを貼りたがるようだが、実は、後者こそ、自分たちの先祖が先住民や奴隷に行った行為を理解し、「いつか報復されて当然」と考えていて、一方、白人なのに前者の集団に属している人達こそ、その罪に無自覚なのかもしれない。

 

    ーーーーー杉浦 憲二 (Sugíura Kenji) ーー sui generis ーーーーー