イタリアンマフィア と ローマ法王 | 安濃爾鱒のノート

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これは web log ではありません。
なんというか、私の「ノート」です。

  「ンドランゲタ」若しくは「ンドランゲータ
という名前を見た時、最初は、誤字・書き間違えだろうと思った。
 で、調べてみたら、イタリア語で "’ndràngheta" 英語で "’ndrangheta" と表記し、日本語カタカナ表記するなら 「ンドランゲタ」(若しくは「ンドランゲータ」)で合っている様だ。
 "’ndràngheta" とは、イタリア4大マフィアの一つである。(残り3つは "La Cosa Nostra", "Camorra", "Sacra Corona Unita" で、どれも、普通の言葉から成る名前である。)
 "’ndràngheta" という名前の由来は、捜せば、「男気」を意味するギリシャ語の "ανδραγαθια" から、とかなんとかいう説明が見つかるが、どうも、後付けコジツケの様に読める。兎に角、変な名前である。
 といっても、この "’ndràngheta" が気になったのは、別にその変わった名前のせいではない。 2014年6月、ローマ教皇フランシスコは、"’ndràngheta" の拠点であるカラブリア州(Calabria、イタリア半島南部、シチリア島の対岸)を訪問、このマフィアの抗争に巻き込まれた一般市民犠牲者の遺族と面会した上で、この組織のボスを「破門("excomulga")している。
   ( ソースは、例えばこの記事: "El Papa excomulga a la mafia" )
    フランシスコ : 第266代ローマ教皇 (在位:2013年3月13日 - )
    (【羅】: Franciscus【伊】: Francesco【西】: Francisco【英】: Francis)

 

へー、そうなのか、そんなもんなのか?というのが私の正直な感想である。

 というのは、ハリウッド映画、米国製テレビドラマの世界では、バチカンとイタリアンマフィアは 仲良し、持ちつ持たれつの関係、或いは、《 イタリアンマフィアは、バチカンの「陰の手下」、表に出せない非合法な活動を担当する実行部隊 》というようなことになっていることが多いので、私は てっきり 本当にそういうものだと思っていたのだった。しかし現実は、バチカンは、マフィアのボス達を破門するし、また、マフィアのボスは、《 グレゴリウス7世(Gregorius VII)に破門され、カノッサ城門にて裸足のまま断食と哀願を続け、教皇から赦し(破門の解除)を願った、所謂「カノッサの屈辱」("Gang nach Canossa"、"Umiliazione di Canossa") の 神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世 (Heinrich IV) 》とは違って、破門されても巨大組織のボスとしてやってゆけるもんなんだなぁ。

 我々は、-- というか、少なくとも私は-- 例えば、イスラム教徒(自称)テロリストの自爆テロのことを、欧米人が "kamikaze" と呼ぶことについて、《 英霊に失礼だ。ケシカラン 》と 怒ったり不快感を擁いたりするが、我々だって 欧米で作られた 娯楽用コンテンツにおけるオハナシ、話を面白くさせるための設定に過ぎないものを 真に受けて、酷く失礼な勘違いをしていたりするのだ、ということを自覚しておかなければならない。