「リセ」 は "lycée" | 安濃爾鱒のノート

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なんというか、私の「ノート」です。

 7月1日になった。
 ギリシャ(Ελλάδαは やっぱり 時間切れアウトのようだ。
 この件で、EU の Jean-Claude Juncker 欧州委員長の発言、おっと、その前に、ちょっと割り込みの説明:
 「欧州委員会」の「委員長」、略して「欧州委員長」という役職を理解するには、
    EUを一つの国家と見做した場合の
    内閣に相当するのが欧州委員会
    各大臣に相当するのが欧州委員会の各委員
    内閣総理大臣に相当するのが欧州委員会委員長
と考えるのが、まぁ、教科書的な説明になるのだろうが、実際は、多くの場合、欧州員会委員長は そんなに 権限はない。
国連事務総長と同程度、それくらいのもんか。

    (国連事務総長というのは 会社でいうと 総務部長程度の存在で、
     でも、国連という"会社"には社長が居ないので、
     総務部長がしばしば社長代行として担ぎ出される場面が多い
     というだけで、国連事務総長にそんなに強い権限がないのは
     そもそもの成り立ちからいってそれが当たり前なのであって、
     国連事務総長に強い権限がない事を嘆く人こそ
     理解の仕方がおかしいんである
     どちらも 小国の人が選ばれるのは共通。
     Jean-Claude Juncker 欧州委員長はルクセンブルグの人
     (Groussherzogtum Lëtzebuerg, Grand-Duché de Luxembourg,

       Großherzogtum Luxemburg)
     潘基文(반기문)国連事務総長は韓国の人

で、話を戻して、Juncker 欧州委員長は、ギリシャ(Ελλάδαの債務不履行問題について 
   「私はギリシャ国民を信じる」
と言っているようで、これを
   《 投資詐欺に引っかかったバアサンのような言葉 》
と評した人がいて、上手いな、と、思った。しかし、こう言うしかないのかな。大した権限もないのに、責任だけは問われるのだから、可哀想な気もする。

 ところで、この人のことを知ろうと思って、Wikipedia のこの人のページを見てみたら

 リセ・ミシェル・ロダンジュでヨーロッパ・バカロレアを…
 ストラスブール大学で法学を学び…

とある。
あぁ、こういうの、よくあるね。

 「リセ」というのは、固有名詞(の一部)ではなくて、lycée と書いて、フランスやルクセンブルグやトルコなどで高校を指す言葉であって、「リセ・ミシェル・ロダンジュ」 は、"Lycée Michel-Rodange" つまり、「ミシェル・ロダンジュ」という名前の高校なのであって、ここは、「ミシェル・ロダンジュ高校」と書いて、これを「ストラスブール大学」に並べるべきなのである。
 或いは、ひょっとして、"lycée" を 「高校」と訳すはおかしい、と考えているのもしれない。 (ドイツ語の "Gymnasium" を、「高校」などとは訳さず「ギムナジウム」と書くようなものか?)
 でも、もし、"lycée" を 「高校」と訳すのが嫌なのなら、"lycée"や「リセ」のままでもいいけど、それなら、Lycée Michel-RodangeUniversité de Strasbourg (もしくは、それぞれのカタカナ表記) と書き並べるべきじゃないのだろうか。

 こういう "Lycée なんたら" を訳すのに、「リセ・なんたら」と言う風に、"lycée" を 「高校」 とせずに、固有名詞の一部分としているものを、ちょくちょくみかける。

 これは勝手な想像に過ぎないのだが、こういうのって、フランス語 → 英語 → 日本語 と訳されたものでよく起きているのではないのだろうか?フランス語から英語に訳した人が、"Université de ... " を "University of ..." と訳したのに、"Lycée ... "は そのままか、"Lycee" に替えるだけだったりするので、まぁ、英語人にはそれでいいのかもしれないが、それをそこから更に日本語に訳した人が、"Lycée" ("Lycee") を固有名詞の一部と勘違いしているのではないのだろうか?

 気になる。

lycee

 

 

             杉浦 憲二 (Sugíura Kenji)