貴方の言葉を疑うなど
微塵も考えなかった
貴方の言葉を疑う
彼がただ憎かった
何故わからないのか
何故理解しないのか
何故逆らうのか
何故自らに泥を塗るのか
ひたすらひたすら
彼が憎かった
私にとって貴方の言葉は絶対で
貴方の言葉こそが世界の真理で
そして、いま
貴方が居なくなった世界
未だに私は貴方の言葉を信じていて
貴方の言葉は私の脳髄で
生々しく響き続けていた
貴方の望みを叶えるため
憎い筈の彼を切り裂いても
充足感は得られず
虚無感が全てを支配した
嗚呼、そうか
彼が居ない
私は初めて貴方の言葉を疑った