#がん治療研究
難治性のがん治療、"最終兵器"として世界中で注目されている「アルファ線療法」とは/マイナビ
・従来のX線、ベータ線より強力
・分子標的薬によりがん細胞を的確に攻撃→前立腺がんで効果確認
・2030年実用化が見込まれている
https://news.mynavi.jp/premium/article/20250918-3442681/


【記事の概要(所要1分)】
アルファ線療法(TAT:Targeted Alpha Therapy)は、分子標的薬と放射性同位元素を組み合わせ、がん細胞だけを正確に攻撃する新しい治療法です。

従来のX線やベータ線と異なり、アルファ線は飛距離が極めて短いものの破壊力が強く、わずかな量でもがん細胞を効率的に壊せるのが特長です。

これまで治療に使えなかったアルファ線を活かせるようになったのは、がん特有のたんぱく質を狙える分子標的薬の登場によるもので、診断と治療を一体化した「セラノスティクス」という新しい枠組みが誕生しました。

代表的な放射性同位元素「アクチニウム225(Ac-225)」では、特に前立腺がんなどで高い効果が報告されており、他にも鉛212などの開発が進んでいます。

世界的に開発競争が激化し、日本も国立機関や大学を中心に体制を強化中で、2030年頃には多くの病院で実用化が期待されています。

既存の治療が効かない難治性がんに対し、新たな希望をもたらす“最終兵器”として注目されています。

------------------
がん細胞の表面にのみ存在している標的分子(特有のたんぱく質)にジャストで結合出来る分子標的薬を見つけ、これに、アルファ線を放出する放射性同位元素(これがアクチニウム225など)を混ぜ込んで注射します。

血液を通じてそのアルファ線はがん細胞に到達して標的分子と結合し、がん細胞を強力なパワーでやっつける、と。

ものすごく簡単に言えばこういうことで間違っていないと思います。

アルファ線というのは、少量で大きな力を発揮しますが、これのみだと正常細胞まで破壊してしまいます。
そこで大事なことは、がん細胞のみに到達させることで、分子標的薬の重要な役割となります。

日本では、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対し、ラジウム223という療法が承認されています。
アルファ線治療としては、これのみです。

ラジウム223は、骨転移に効果を発揮するのですが、骨以外の臓器には効きにくいようです。

一方、現在研究が進むアクチニウム225、つまり次世代型のアルファ線治療は、標的分子を持っていれば全身どこのがんでも攻撃は出来ることになっています。

アクチニウム225の日本での臨床試験はまだ始まったばかりです。
対象は高リスク局所前立腺がんです。

アクチニウム225の国内製造の見通しがついており、国立がん研究所やQSTなど日本でも最高の研究機関が主体となって開発を進めています。

海外データとしては、長期追跡での奏効・生存延長の示唆が報告されており、安全性も概ね良好です。

安定供給への道が出来ている点で、日本でのアクチニウム225によるアルファ線治療の実現が期待できます。そして臨床試験も進んでいます。