#乳がん
【承認】エンハーツ、ホルモン受容体陽性HER2低発現または超低発現の手術不能又は再発乳がんの治療薬として承認を取得/オンコロ
・HER2陰性のみの対象から”低発現”も対象になった意義は大→対象者増
・低発現でも一貫した有効性を示している
https://oncolo.jp/news/250827ra02
【記事の概要(所要1分)】
8月25日、第一三共の抗HER2抗体薬物複合体エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)が、日本で「ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2低発現/超低発現の手術不能・再発乳がん(化学療法未治療)」に承認されました。これまで“HER2陰性”に一括りにされ、抗HER2療法の対象外だった多くの患者さんの中から、HER2がごく少量でも発現する層(低発現~“超低”発現)を治療対象として救い上げる点が最大の意義です。日本でこの層に対する抗HER2療法が承認されるのは初めてで、治療選択の地図が塗り替わります。
根拠は国際第3相DESTINY-Breast06試験。主要評価項目で、エンハーツは標準的な化学療法に比べ無増悪生存期間(PFS)を13.2か月 vs 8.1か月へと延長し、病勢進行・死亡リスクを約38%低減しました。超低発現でも一貫した有効性が示されています。一方、全生存期間(OS)は追跡継続中で、確定的な結論はこれからです。
安全性では間質性肺疾患に注意が必要です。咳・息切れ・発熱などの初期サインで早期対応(休薬・治療)が重要とされています。
患者さんへの実務ポイントは3つ。
①病理検査でHER2低発現/超低発現の再評価が可能か主治医に相談する
②エンハーツの適用可否とベネフィットとリスクを個別に検討する
③ILD対策を含むモニタリング体制を確認する
初回化学療法へ進む前の“強い一手”が増えたことで、HR陽性・HER2陰性と告げられた多くの患者さんには新しい希望と言えます。