#がん治療研究
免疫不全状態でも抗腫瘍効果が期待できる「がん細菌療法」を開発 北陸先端大ほか/医療NEWS
・化学療法、放射線治療などを受けた患者の多くは免疫不全状態に→免疫不全状態でも効果があることを確認(マウス)
※"Nature Biomedical Engineering"に掲載
【記事の概要(所要1分)】
北陸先端科学技術大学院大学を中心とする研究チームは、免疫細胞に頼らずに抗腫瘍効果を発揮する新しいがん治療「AUN(阿吽)」を開発しました。第一三共、筑波大学との共同研究であり、成果は『Nature Biomedical Engineering』に掲載されました。
この「AUN」は、2種類の天然細菌が“阿吽の呼吸”のように協調し、腫瘍内で次のような働きを行います:
・がん細胞や腫瘍血管を選択的に破壊
・細菌構造の変化で抗腫瘍効果を強化
・副作用(サイトカインストームなど)の抑制
従来のがん免疫療法は、T細胞など免疫細胞の力を必要としており、免疫不全状態の患者では効果が限定的でした。AUNは免疫細胞を使わずにがんを攻撃するため、免疫が低下した患者にも適用できる可能性があります。
マウスやヒト腫瘍モデルでも明確な腫瘍抑制効果が確認されており、今後は実用化に向けたスタートアップの立ち上げも進行中です。150年の歴史を持つ「がん細菌療法」が、新たな科学的裏付けとともに現代医療に蘇ろうとしています。
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再びの取り上げになります。
過去をあさると、2年前からこの研究については取り上げています。
なんと言っても、体に負担にかかるがん治療を経ている方にも効く可能性があるということがポイントです。
更に、重大な副作用が回避できることも大きなメリットです。
これまでの試験は、全て細胞レベルか動物によるものばかりですが、そのどれもが素晴らしい結果となっています。
特にヒト腫瘍細胞での試験でコンスタントに結果が出ていることは、今後開始されるだろうヒト臨床試験での良い結果を予想させるものです。
既に第一三共という企業との取り組みとなっている点も実用化を考えると心強いところです。