#がん治療研究
ウイルス利用したがん治療法、皮膚がんに効果 東大・信州大など/日本経済新聞
・メラノーマに対する新しい免疫強化型ウィルス使用治験で9人中7人が腫瘍縮小か消失という高効果確認
・他のがん種へも適用できる可能性
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG228IP0S5A720C2000000/
東京大学と信州大学の研究チームは、がん細胞だけを狙って破壊するウイルス療法の新たな成果を発表しました。対象は皮膚や粘膜にできる悪性黒色腫(メラノーマ)の患者で、新たに開発した免疫強化型のがん治療ウイルスを使った医師主導の治験で、9人中7人で腫瘍の縮小または消失という高い有効性が示されました。
この治療法では、がん細胞の中でのみ増殖するように設計された遺伝子組み換えウイルスを投与し、がん細胞を破壊。同時に免疫反応を活性化する遺伝子も組み込み、がんに対する自己免疫の力も引き出す仕組みです。これは、すでに脳腫瘍治療に使われているウイルスを改良したもので、従来以上の効果が期待されています。
この治療は、正常な細胞を傷つけずにがん細胞のみを攻撃する点で、副作用が少なく、治療抵抗性のがんに対しても効果を発揮する可能性があるとして注目されています。国内では、藤堂具紀教授のチームが先駆的にウイルス療法(テロメライシンなど)を研究し、すでに脳腫瘍に対して「デリタクト(G47Δ)」というウイルス製剤が承認済みです。
今回のメラノーマに対する成果は、ウイルス療法ががん治療の新たな柱となる可能性を改めて示すものであり、今後は他のがん種(胃がん・肺がん・膵臓がんなど)への適応拡大に向けた治験や研究も進められています。