先日、とある”大手”がん患者会さんが主催されたセミナーに参加してきました。
その中で、最も注目していたのがこちらの「がん患者の食について」。

特別な秘訣などはありませんでしたが、「食べられる状態の時ならいつでも、食べたいものを食べる」という指針の中で、タンパク質、脂質摂取でエネルギーを得ていきましょう、というものでした。

尚、講師の先生のお名前はふせさせていただきますが、病態栄養専門管理栄養士として大病院などでキャリアを積まれた方で、病院食、というよりも、患者さんのための食、について精通された方でした。

下の通りまとめましたので、ご参考になさってください。

【がん患者の食に関して】
(1)美味しいと感じることが大事
    美味しいと感じるものを食べるのは良い事
      過去の良かった出来事などが思い出され免疫アップにつながる
      唾液が出ることで口腔衛生が保たれると共に消化器官が働く準備になる

(2)がんでなぜ痩せるか
    がん細胞が高代謝なためエネルギーを食う
      基礎代謝が上がる→エネルギー不足になってやせる

(3)痩せないために五大栄養素のうち何を摂るべきか
    A:特にタンパク質と脂質が大事
      ●タンパク質の1日の必要摂取量:体重×1.0~1.5g 体重60kgなら60~90g
        食品に含まれるタンパク質の量
          鶏肉300g中50g
          卵1個中7g
          納豆1パック中7g
          牛乳200ml中7g
        SAVASなどサプリメントからの摂取もお勧め
      ●脂質:高効率の栄養源となる
        ゴマ油を料理にちょっとかける
        オリーブオイルをドレッシングに使う
        マヨネーズを使う 
        油の多い魚を食べる など方法はいくらでもある
    B:糖質は高エネルギーで痩せないためには良いが過度な摂取はおすすめしない
      がん細胞は糖質をエネルギーとして成長していくという報告
【MEMO】神経内分泌腫瘍という希少がんは糖質が発がん及びがんの進行を促進することが判明している・他のがん種でもその可能性があるという予想もある・ポイントとしては血糖値を上げないこと

(4)がん患者が食欲を無くすわけ
    がんが脳に影響する
    精神的なストレス
    がんが消化器官に影響する
    治療による障害
【MEMO】精神的なストレスによるものは早めに解決しておくべきか・早期緩和ケアや心療内科への受診など

(5)がん患者さんの食事での困りごと
    A:食事を作ることが体力的にも精神的にもなかなか出来ない
      冷凍食品やインスタントのもの使うなどで工夫
      サプリメント使用もOK
    B:吐き気
      あまりにおいが立たないものを
      手軽に手べることが出来るものを常備しておく
        食べれる時にサッと食べる
      少量をこまめに摂る

【MEMO】吐き気がある時には「おにぎり」が良いとされる患者さんが多い

    C:味覚の変化(味がおかしく感じる)
      出汁をしっかり効かせる
      香りづけを活用
      のどごしの良い物を
      熱い料理はさまして
    D:口内炎※頻繁に起こる副作用の一つ
      やわらかく、水っぽく
      とろみづけ
      食べやすい形に
      唾液を出す
    E:お腹の症状→下痢など
      消化にやさしいものを
      水分を摂る

(6)他
    A:おすすめの本「抗がん剤・放射線治療を受けている方の食事」
    B:食べる時間について
      基本的にはいつでもよい:食べられる時に食べる
        ベストタイミングは夕食19:00頃→22:00~02:00に腸の動きが活性化
    C:腸活は大事
      免疫細胞は小腸に50%、大腸に20%
      発酵食品+食物繊維を摂る
      腸内細菌の多様性が大事
        色々な食材を摂る
    D:サプリメントは摂ってよいのか
      栄養を摂れるのであれば形態は何でもかまわない
      栄養を「サプリメントだから」という理由で摂らないのは非合理的

【まとめ】がん患者さんの食事の方針は「痩せない」こと。
そのためには、食べられるもの・食べたいものなら何でもよい、のではあるけれど、出来るだけタンパク質や脂質から摂るようにしていきたい。

とは言え、瘦せ細ってきたな、という時に糖質だからだめというわけではない。
食べたいものが甘い物で、糖質からエネルギーを摂れるのであればそれが優先される。

形態を特に問う必要もない。冷凍食品、加工品、サプリメント等々。
どんどん使用していくべき。