#胃がん
胃の腸上皮化生は前がん病変であることを証明 ピロリ菌感染で腸上皮化生が発生していても除菌治療で発がんリスクが下がる/星薬科大学
●腸上皮化生:胃粘膜が腸粘膜様になる現象→胃がんリスクが高いことを証明
腸上皮化生後でのピロリ菌除去は胃がん予防に有意

https://www.hoshi.ac.jp/news/news-study/37080/

 

慢性胃炎が続くと、やがて萎縮性胃炎という状態になり、これが継続すると、この腸上皮化生という、胃の粘膜に腸粘膜の細胞が現れだす状態になります。
 
ここまで胃が悪化していく原因がピロリ菌だと言われるのですが、こちらの研究は、その腸上皮化生が、胃がんの前がん状態であることを論じたものです。
 
元々腸上皮化生から胃がんに発展する危険性は叫ばれていたところですが、その仕組みが解明した点で、胃がんリスクの見極め=予防アクションへの誘導により合理性が認められたことになります。
 
私、実は3年前、萎縮性胃炎の診断が出たので、すぐに胃カメラを飲んだところ、確かに萎縮性胃炎が認められました。同時にピロリ菌陽性であることもわかり、すぐに除菌治療を実施してもらいました。
 
萎縮性胃炎は治りにくいということで、既に胃がんリスクについては”上昇している”という認識でいたのですが、除菌から1年後、萎縮性胃炎の状態が良くなっていることが確認されました。
腸上皮化生の心配もしていたのでホッとしたのですが、やはりピロリ菌除去の奏効と見るべきで、胃がんリスクも幾分低下したと言えるのだと思っています。
 
さて、この研究でもう一つ明らかにされていることは、例え腸上皮化生まで進行していた場合でも、ピロリ菌除去は有効な胃がんリスク低減手段であることです。
 
ざっと言えば、胃がん細胞に特徴的に存在するDNAメチル化異常というものが、腸上皮化生細胞にも蓄積しやすいということが腸上皮化生が前がん状態であるということを結論付けるものなのですが、そのDNAメチル化異常の蓄積は、ピロリ菌感染による炎症( IL-17A 放出)が加速要因になっているということが更に突き止められています。
 
よって、ピロリ菌除去による感染からのレスキューは、直接的に前がん状態からがんへの進行を抑制する効果があるというわけです。
 
特に胃に異常がない方が、胃がん予防としてピロリ菌除去をすることは有意義なのですが、萎縮性胃炎や腸上皮化生の方こそピロリ菌除去は重要、ということが言えると思います。