#大腸がん
大腸がんの転移が進み手術もできなかった友を救った薬とは/ヨミドクター
●肝転移、切除不可で余命3年予測
●RAS変異無く抗EGFR抗体薬(分子標的薬)が使えた
●新標的の薬が数年に1つ程のペースで承認されている→今、薬が無くても新薬が登場する可能性はある
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20230907-OYTET50000/
この記事は、ステージ4大腸がんからの生還とその手法をメインとした記事ですが、メッセージとしては、薬が無くてもあきらめないで、というものを感じます。
この事例から、いくつかのポイントが見えてきます。
一つは、効果を得られる確率、です。
全ての患者さんに効果が発現してよく効きますよというものは、がん領域に関しては無いのではないでしょうか。
こちらのお医者様ご友人様の場合も、実のところ、そういう観点から見ると幸運であった、と言えます。
この幸運の前置は言わば「誰に効いて、誰に効かないかは、やってみないとわからない」ということです。
※当然、事前検査などで「効かない」とわかっている人に薬が投与されることはありません
このように言うと、どこか悲観的な気分になるのですが、私が申し上げたいのは、例え効果が出る確率がエビデンスからは10%とされていても、やってみないとわからない以上、50%の確率はあると考えた方がよいということです。かなり単純な思考ですが、わからんのですから。
通常、臨床試験の結果は、中央値が適用されます。
例えば「ある薬を使用したところ生存期間の中央値は1.6年でした」というような。
ここから、お医者様も責任がありますから、期待出来る効果は1.6年程です、という説明をされると思います。
しかし、中央値は真ん中の数値なわけで、「最長だと3年以上」「最短では0.6ヵ月」など、試験結果にもばらつきが絶対にあります。
それをどう取るか、ですが、わざわざ最短を予測しても謙虚だと褒められるわけではありませんから、最長を期待した方がよいと思います。
ご自身が最短である確率も最長である確率も、また中央値程度である確率も、先述のように、わからんのですから、を適用するならいずれも50%です。
もう一つのポイントは「がんをサバイバルするとは」ということになりますかね。
記事のお医者様が仰るように、がん医療の研究は進展を続けており、実用化されるものが次から次へと出てきます。
ですから、少ない予後延長であっても、チャンスは広がるということになります。
新しい療法や薬は、動物試験や小規模臨床試験などの前臨床によって、効果が期待出来ると判断されたものが治験として本格的なヒト臨床試験によってその効果の程、用法、安全性などが調べられます。
延命を続けることによって、この治験に参加出来る可能性もあります。
がん患者さんでも無い私ですから言えることだと思っています。
しかしこれは、「痛いの痛いの飛んでいけ」と唱えるおまじないの話ではなく、現実だとも思います。