#脳腫瘍
悪性脳腫瘍の中性子捕捉治療(BNCT)
少量で高効果の新規ホウ素薬剤を開発/医療NEWS
●グリオーママウスで既存薬比10-20倍のホウ素取込
●新薬を患部に局所投与マウス、既存薬マウス生存期間中央値37日に対し50%が180日以上生存
●新旧薬併用では更に高効果確認
https://www.qlifepro.com/news/20230712/pbc-ip.html
 

個人的な感覚ですが、かなり重要な成果だと思います。

 

次期治療法として大きな期待がかかる核医療のBNCT。

ホウ素剤によってがん細胞にホウ素を取り込ませて中性子線を照射することで、患部にエネルギーを集中させて高い効果を発揮する、というものです。

 

こちらはそのホウ素剤に関する研究なのですが、既存薬より更に高密度にがん細胞がホウ素を取込むことが出来るように仕組まれたものです。

 

【抜粋】

ヒトおよびラット由来グリオーマ細胞へのPBC-IPの取り込み能を評価したところ、L-BPAよりも10~20倍多くのホウ素が取り込まれることがわかった。そこで、グリオーマの中でも特に悪性度の高いグリオブラストーマ細胞を移植したマウスにPBC-IPを尾静脈投与し、中性子照射を行ったところ、顕著な腫瘍増殖抑制効果が得られ、同用量のL-BPAを投与した群よりも有意に腫瘍増殖を抑制していた。

 

さらに、グリオーマラットモデルを用いて、convection-enhanced delivery(CED)法によってPBC-IPを脳内患部に局所投与し、中性子照射実験を行った。L-BPA投与群は、生存期間中央値が37日であったのに対し、PBC-IP投与群の生存期間の延長効果は極めて高く、180日が経過しても全体の50%が生存した。さらに、PBC-IPとL-BPAを併用した群では、180日経過後も全体の70%が生存した。長期間生存したラットの脳を組織染色し観察したところ、腫瘍細胞が残存していないことが明らかとなった。

PBC-IPは、静脈投与とCED法による局所投与のどちらにおいても、グリオーマおよびグリオブラストーマ動物モデルにおいて、優れた腫瘍治療効果を示した。特に、CED法によるPBC-IPの局所投与においては、通常のホウ素薬剤投与量の50分の1の投与量で高い治療効果が得られており、難治性悪性脳腫瘍の治療法の開発において、極めて大きなインパクトをもたらすことが期待される。

 

実験は、マウスによるものです。安全性を含めた「ヒトでどうか」はこれから確認なのですが、期待値は大きいです。

 

また、他のがん種への適用にも期待せずにはいられません。