ざっとした話ですが、かなり進行してしまったがんの場合、完治ではなくがんが大きくならないようにしながら延命していくことが医療目的になってきます。
その標準治療として、例えば、抗がん剤を体が持つまで入れ続けるということになるケースも珍しくないのですが、標準治療というより抗がん剤以外の選択肢を用意しようとされているのが山崎医師です。
ご存じの通りです。抗がん剤治療はがんには効果を成しますが、健常な体に対しては毒と言えるようなものも多くあり、生活の質が落ちてしまいがちです。
がんが進行に弱ってきた体に入れるなら、それはもう熾烈な戦いになるでしょう。
それでも、ある一定の期間はがんの進行が止められる可能性がありますから、間違った治療ではありません。
ただし、これは私がこれまで知人やらで経験してきたことですが、ある時から突然にがんが暴発しだすとなかなか歯止めがきかなくなり、そこからは割と短期間で息を引き取られる場合も結構あるのです。
辛い抗がん剤治療に耐えながら結局はそのようなことになるなら、抗がん剤とのドッグレースではなく、食べるものに気を使って体を整えることで、出来るだけがんが広がらないようにするのはどうか、というのが山崎医師ご提案の「がん共存療法」です。
ご自身がステージ4大腸がんのサバイバーさんであられて、まさにご経験しておられることを臨床試験で確かめたいということで、倫理委員会も通過し、今まさに試験中なのです。
言葉を選ばず言いますと、体がもうぐったりして身動きも自由に出来ない状態になりながら抗がん剤を入れて死期を待つのか、抗がん剤は入れないか極少量の抗がん剤を使用する程度にし、体が比較的元気な状態で死期を待つのか、どっちの方がよろしいか、ということになってくるかと思います。
正解なんてないと思います。
ただ、後者に関しては食事療法と併せた療法としてエビデンスを与えるために実施されています。患者さんの選択肢になるようにと。
そもそも難しいがんを抱えながら、どのようにサバイバルしていくか。
標準治療は、どの程度効くのかが臨床試験によって証明されている一方で、どの程度効かないのか、つまり限界も証明されていると言えます。
がん共存療法の臨床試験もまた、どの程度効かないのか、が証明されることで、患者さんにとって選択肢になり得るのかも知れません。
出来れば標準治療よりも延命出来る程の効果を示して欲しいですが、それよりも、まずは患者さんの新しい選択肢としてなっていくことを願っています。