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老化細胞を除去する量の設定や、効果発現の速さについても今後の課題かも知れません。
ただこれは、実用化されたら大きなインパクトになりそうです。
【POINT】
老化細胞が出すGPNMBと呼ばれるタンパク質を標的とするワクチン。
免疫系を鍛え、老化細胞の除去を早める。
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老化細胞は細胞のがん化を抑える働きをしながら、炎症物質によってがんの発症・転移を高めるという二面性がある。
がん発生後は、がん抑制ではなく悪性化、転移の方に働きやすいと見られている。
老化細胞が良い働きをするためのポイントはその量。
一定数以上増えると、悪い働きをするようになる。
その量を測る方法は現在世界中で研究中。
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全く新しいがん治療薬の開発に意欲
【抜粋】
「分子標的薬や、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤は画期的な治療薬だが、奏効しない患者さんは一定数存在。
特定の遺伝子の変異によって発症したがんには効きやすい一方、喫煙や肥満、加齢といった、遺伝子にランダムな変異が入った結果として発症するがんには効きにくい。
老化細胞を標的とする治療薬によって、これまで難しかったがんを治療できるようになることを期待」
「最近の論文では、たくさんある老化細胞を除去しすぎると臓器の形を保てなくなったり、血管を再生できなかったりといった弊害が起きると報告。
それに対して、老化細胞そのものを除去するのではなく、老化細胞が出す炎症物質をブロックするような治療法を模索すべきだという考え方も生まれている」
「がん細胞の場合は手術や抗がん剤治療などで根こそぎ除去しないと、どこかに残った1個が分裂をくり返して再発してしまう。
老化細胞ならゼロにする必要はなく、半分にすれば効果が出る」
「マウス実験では副作用が少なく、効果が長く持続することを確認。
既存の抗がん剤を元にした老化細胞除去薬(抗がん剤に老化細胞除去能あり)では、アポトーシスを止めている遺伝子の働きをブロックするように作用するものが多いが、元々アポトーシスを起こしにくい血球系の細胞にも作用してしまい、貧血になったり白血球が減少したりなどの副作用を起こす。
われわれ(順天堂大)のワクチンはそれに比べると、精度よく老化細胞に絞って取り除ける治療になると考えている」
「ワクチンや抗体医薬の開発にも、臨床研究の実施にも巨額の資金が必要。
幸い、昨年末に論文を発表すると、国内外から連絡が来た。どこと組むかを検討している」
「特定疾患に苦しむ患者さんへの臨床試験を開始したい。
早く見積もっても、ワクチンが市場に出るのは10年後くらいか」
※特定疾病向けのワクチンにしないと厚労省が認可しない