配信:altena
【抜粋】
食べ物を飲み込むのが難しい患者や高齢者でも食べやすい「嚥下(えんげ)食」が、一般の飲食店でも広まりつつある。
従来は病院や介護施設で提供されてきたが、高級レストランで食材をすりつぶしたり、刻んだりして提供する例も。
愛知県ではNPO法人が嚥下食専門の「嚥下食カフェ」を含む複合施設を、総工費約1億7000万円で計画中だ。食べやすさに加えて見た目やおいしさも工夫することで、医療や介護の垣根を超えて誰でも一緒に食事を楽しめる「食のバリアフリー」を追求する。
「ふくりび」は訪問理美容や、がん患者向けの医療用ウィッグの製作などを手掛けてきた。
活動をするうちに、嚥下食が普及していないために外食をあきらめたり、食事を楽しめなかったりする患者や家族の問題に気付き、新たにプロジェクトを立ち上げることにした。
嚥下食カフェのメニューは戸原教授がアドバイザーとなって開発する。
嚥下食でもサクサクとした食感を残したり、「3Dプリンター」を使って盛り付けたりするなど、実験的なメニューもできそうだという。
カフェのプロデューサーには、アイドルグループ「SKE48」の元メンバーで乳がんの闘病経験もある矢方美紀さんが就く。矢方さんは「自分も抗がん剤治療中は食欲低下や味覚の変化で、食事がおいしく食べられないことに悩んだ。そういう経験を生かして、いろんな人が同じ食事で『おいしいね』『楽しいね』と意思疎通できるような場所にしたい」と意気込む。
施設は「TOTONOU(ととのう)」の名称で、愛知県長久手市内に地上3階建てで新築する。嚥下食カフェのほか、美容室やコミュニティー図書館も併設。総工費は約1億7000万円の予定で、その一部を賄う2000万円の寄付を5月23日までクラウドファンディングで募集。今年11月のオープンを目指す。