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【抜粋】
食道がんのI期からIII期までの標準治療は、手術が第1選択
全身状態が悪いなど手術ができない時の手段として、放射線と抗がん剤と組み合わせる「化学放射線療法」が位置づけられる
「I期では手術と化学放射線療法の治療成績は変わらないという報告が、たくさん出てきています。今後は同列の扱いになっていくのではないでしょうか」
手術では食道だけでなく周囲のリンパ節も切除
胸部にがんができた場合は、食道とともに胃の一部を切除し、残った胃や腸をつり上げて食道を再建
食道の機能を失うことで、誤嚥しやすい、十分な量が食べられないなど食生活に影響が出る
上部にがんができた場合は、喉頭も一緒に切除しなければならず、声を失うこともある。
「化学放射線療法であれば、食道もその機能も温存されるため、食生活や声への影響は少ない。治療後のQOL(生活の質)を維持できます」(神宮医師)
II期とIII期では、過去のさまざまな報告から、化学放射線療法よりも、化学療法後に手術をおこなうほうが治療成績は良い
IV期の中でも、遠隔転移はしていないものの、がんが食道の周囲の組織まで広がって切除ができないIVa期は、化学放射線療法が第1選択となる。「遠隔転移がなければ、まだ根治が期待できる」
食道がんでは3次元原体照射が一般的だが、IMRTや陽子線を使えば、周囲の正常組織にかかる線量を抑え、合併症を減らせる可能性
「かつての抗がん剤は放射線の効果を高める役割でしたが、今は腫瘍周辺の目に見えないがんを殺せる力があります。そのため予防的に広い範囲に放射線を照射する必要はなくなり、病巣に絞って照射するようになっています。今後は免疫療法と組み合わせるなど、さらなる治療成績の向上が期待できます」