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配信:ヤフーニュース

 

【抜粋】

2002年に当院に赴任して、以来20年間の外科領域におけるトピックといえば、やはり胸腔鏡や腹腔鏡などのデバイス(手術器具)の進歩です。肺がんの手術はさまざまなアプローチ方法があり、現在当院では「ハイブリッドVATS」という、5~6センチの小さな開胸と胸腔鏡を併用する術式でおこなっています。昔の開胸手術と比べると傷の大きさは8分の1程度です。患者さんの負担が少なく早期退院できる低侵襲性と同時に、リンパ節郭清をしっかりできることによる、がんの「根治性」と「安全性」を担保できます。

 

近年の肺がん手術のトピックは「区域切除」です。右肺に三つ、左肺に二つある「肺葉」のなかで肺がんのある区域のみを切除するという手術です。私が代表を務める「JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)」の肺がん外科グループは、2センチ以下のがんで、標準治療である「肺葉切除」と区域切除の比較試験をおこないました。その結果、局所再発は区域切除のほうが多かったものの、全生存期間は区域切除のほうが優れていることが示されました。