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配信:AERA
こちらの記事、一見は放射線治療推薦者の提灯的な記事のように見えますが、そういうことではないと思います。
問題の提起は下のような2点
1、標準治療では手術が優先だが、どうして放射線治療は2番手なのか
→やや放射線治療の方が再発しやすい傾向にあるが対処可能、QOLは放射線治療の方が有利、なのに手術1番手なのはなぜなのか
2、治療方針が”手術当然”で進められ、放射線治療という選択肢は「手術が出来ない」状況ではじめて説明されるケース
→つまり、最初から患者さんが選択出来ないケースがある
私は2について、早く解消出来ることを願っています。
個人的には命最優先で手術を選ぶタイプですが、生き方は人それぞれ違いますし、やはり選択出来た方が良いと思うからです。
少なくとも、がんの治療ということでは、全国統一で同じ病期なら同じ情報提供と同じ治療が基本になっていくべきでしょう。それを標準治療と呼ぶのではないか、とも思うのです。
正直、治れば文句ありませんが、がんは治らない場合もあるわけですから、もしそうなったら納得いかないからです。
ただこれは理想論、かもです。医療は日々目覚ましく発展していますから。
セカンドオピニオンを取るようにすること。
これは患者さん側のアクションになりますが、これがもっとも現実的な策かも知れません。
記事内容は下記の通りです↓
大船中央病院放射線治療センター長武田篤也医師
-Ⅰ期Ⅱ期の非小細胞肺がんの標準治療は手術
-出来ない場合は放射線治療、つまり2番手
-2番手は頼りないものなのかと言えばそうではなく根治が期待できる
【抜粋】
早期非小細胞肺がんで使われているのは、ピンポイント照射と呼ばれる「体幹部定位放射線治療(SBRT)」という高精度な照射法だ。病変部の形状に合わせ多方向から1点に放射線を集中させるため、根治性は極めて高く、周辺の正常組織の被ばくは最小限に抑えられる。1回につき従来の5~10倍の線量を当てることができ、治療は短期間で済む。
-なぜ放射線は2番手なのかと言えば、ランダム化比較試験が出来なかったから
-しかし昨年米国でそれに準ずる試験が実施された
【抜粋】
治療後の3年生存率はSBRTも手術も91%、5年生存率は、SBRTが87%、手術が84%だった。SBRTは、早期肺がんの標準治療である手術とほぼ同等の治療成績が示せたことになる。
また、がんの再発がない状態で生存した「無増悪生存(PFS)率」は、SBRTの3年PFS率が80%、5年PFS率は77%だったのに対し、手術はそれぞれ88%、80%。「SBRTは手術に比べると早期再発がやや多い可能性があると解釈できる」と武田医師。手術は転移の可能性があるリンパ節も含めて切除して転移の有無も確認できるのが強み。一方、SBRTはがんのみに放射線を照射するのでリンパ節に対しては無治療になることが一因と考えられるという。
「SBRT後のリンパ節再発は、再発がわかった時点で手術などの局所的な救済治療をおこなえば、命にかかわることは少ない。実際、がんが原因の死亡のみにしぼった生存率は、SBRTも手術も90%を超えていて、がんで死亡した人はごくわずかでした」
-術後QOLではSBRTの方が良好
-手術は1週間の入院が必要、SBRTは仕事をしながらの治療が可能
【抜粋】
神奈川県在住の68歳の男性、2年前に大学病院でI期の非小細胞肺がんと診断
呼吸器外科の主治医からは「手術で治りますよ、よかったですね」と
治療の説明も手術に関することのみでほかの治療法の説明はなし
主治医や看護師は「手術を受けるもの」として説明
手術は10日間の入院が必要
認知症の妻を介護しているので1泊でも家を留守にするのは難しい
エレベーターの無しの5階に住んでいるため肺の一部を取って呼吸機能が落ちるのも不安
悩んだ末「今は手術を受けることができない。先に延ばしたい」と主治医に
ようやく放射線治療やもっと小さく切る手術法もあることを聞いた
「ガイドラインのような基準は必要ですが、患者さんにはそれぞれの生活や考え方がある。医師は一番手の治療だけでなく、ほかの治療の選択肢を示し、そのうえで患者さんに適した治療法を説明すべきです。患者さんも医師任せにするのではなく、きちんと情報を得た上で、治療後のQOL維持や人生観などを考慮して、主体的に治療法を選択してもらいたいと思っています」