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配信:GIGAZINE
【抜粋】
血液から抽出した免疫細胞(T細胞)を「がん細胞を攻撃」できるように作り替えてから再び体内に戻すという「CAR-T細胞療法」を開発初期に受けた白血病患者2名が寛解状態が12年間続いたことから「CAR-T細胞療法は白血病を治療できる」とする研究結果が発表されました。研究チームは治療当初は「白血病は必ず再発するはず」と考えていましたが、12年間再発がなかったことを受け、考えを改めた形です。
CAR-T細胞療法は、患者の中からリンパ球の一種であるT細胞を取り出し、遺伝子編集技術を用いて「キメラ抗原受容体(CAR)」と呼ばれるがん細胞を攻撃する特殊なたんぱく質を作り出せるように改造してから再び投与するという治療法です。アメリカでは2022年1月時点で、白血病・リンパ腫・骨髄腫などの「血液のがん」と呼ばれる病気に対し、5種類のCAR-T細胞療法が規制当局の承認を受けています。
今回の発表はオルソン氏らに関する12年間の追跡調査をまとめたもので、オルソン氏らの血中においては治療直後にはT細胞の一種である「CD8+細胞」が優性となりましたが、その後数年かけて「CD4+細胞」が高度に活性化したという経緯が記されています。
今回の追跡調査はCAR-T細胞療法がオルソン氏らの血中に与えた影響を明らかにしたものですが、実際に何が白血病の再発を防いでいるのかは判明していないとのこと。CAR-T細胞療法を行った段階で全ての白血病細胞が殺し尽くされたのか、はたまた血中に残留し続けたT細胞が新たに生じた白血病細胞を検出可能なレベルに達する前に破壊してくれているのかは不明です。
今回の研究はT細胞の長期的な持続性と体内における安全性を実証するものだと位置づけられており、再発の兆候なしと改めて認定されたオルソン氏についてはがん患者のメンターとして活動する予定とのことで、「がんを患っている人に対して希望を与えることができれば」と述べています。