2021.11.21ヤフー

 

iPSの技術を用いてヒトから取ったNK細胞を増殖し、それを別の人=がん患者さんに移植してがんを叩く療法の臨床試験が始まったところです。この方法は高い効果が期待されながら前進しなかった免疫療法ですが、ついに臨床試験に至っています。移植先を選ばないという点、コストが安くつくという点で、非常に有効な方法だと思います。

 

山中先生がこちらのインタビューで仰っている通り、これからはコストの壁が大きくなります。

まずは金のかかる臨床試験に継続的にお金を出してくれる企業があるかどうかです。

企業は収益が見込めなければお金を出しません。つまり、投資価値の問題があるということです。

その点で、コストが安くつくというのは、決して絶対的メリットには成り得ないというジレンマがあります。

 

日本は資本主義の国です。

資本主義とは、企業の営業活動を自由にして競争させるもの、と言えます。そして、国、行政は、出来るだけそこには関与しないものとも言えるわけです。

例えばこのような、国民への利益が大きいと言える技術があったとしても、やはり企業活動への関与ということでは、なかなか国が関わることもそう簡単ではないのだろうなあ、とは思います。

 

しかし、今や中国という大国の台頭で、国家が企業の営利活動に関与してテコ入れしなければ、企業が守れなくなってきた、そういう時代であるとも思うのです。

ですから、このiPSという素晴らしい技術を用いた有効な医療については、ぜひとも国家予算を計上してでもものにしていってもらいたいのです。

 

山中先生はインタビュー中、ハードルは「金」だと言われます。

「まだまだ技術的にクリアしなければならない問題がある」とは言われていません。

ということは、療法として既に自信をお持ちだと私は思います。

 

末期がんでも生きることが出来るようになれば、治る病気になればどうなるか。

そういうビジョンを国政担当者には持っていただきたいものです。