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ナショジオニュース20210806

 

・・・・・・・・・・抜粋・・・・・・・・・・

がんは猛烈な勢いで再発していた。「その時点で首と肺に転移していて、治療の選択肢はなくなっていました」とキャシディーさんは語る。現在38歳だが、「19年の夏、私のがんは非常に深刻で、身辺整理をするように言われました。自分の葬儀の計画まで立てました」

 

しかし、鎖骨の腫瘍を摘出する手術を受けたとき、医師から米アリゾナ大学がんセンターの臨床試験(治験)に参加できるかもしれないと告げられた。大腸がんと頭頸部がんに対して、メッセンジャーRNA(mRNA)がんワクチンと免疫療法薬を組み合わせて投与する新しい治療法の治験だった。新型コロナウイルスのmRNAワクチンが予防を目的としているのに対し、がんのmRNAワクチンは治療を目的としている。「私は運良く、この治験が行われる場所にいたのです」

 

キャシディーさんは、自分用の個別化mRNAワクチンの注射とペムブロリズマブという免疫療法薬の点滴投与を27週間で9回受けた。主治医であるアリゾナ大学がんセンター副センター長のジュリー・E・バウマン氏のもとへ最初のうちは週1回、のちに3週間に1回通い、定期的にCT(コンピューター断層撮影装置)スキャンも受けた。注射のたびに高熱が出て、倦怠感や体の痛みなどの症状が24時間続いた。「私の免疫系が活性化していたからです。がんと闘うためには必要なことでした」とキャシディーさんは語る。

治療が20年10月に終了した頃には、キャシディーさんのCT画像に異常は見られず、体内にがんは見つからなくなっていた。

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