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日本人の胆道がん、約半数はゲノム情報に適合する治療薬が存在すると判明-理研ほか - QLifePro 医療ニュース

配信:医療NEWS20210727

 

< 抜粋 >

47.9%で何らかのゲノム情報と適合する治療薬の存在が判明

その結果、74症例の22個の変異遺伝子について、適合する治療薬の同定に成功した。最も多かったのは、PTEN遺伝子のコピー数異常(欠失)に対するPI3K阻害剤(16例)、CDKNA2遺伝子の小さな変異またはコピー数異常(欠失)に対するCDK阻害剤(15例)だった。また多くの症例で、PIK3CA遺伝子の小さな変異またはコピー数異常(増幅)に対するPI3K阻害剤、ERBB2遺伝子の小さな変異またはコピー数異常(増幅)に対するHER2阻害剤の適合も見られた。さらに、FGFR1/2/3遺伝子の融合(構造異常)またはコピー数異常(増幅)が15例(肝内胆管がん9例、肝門部胆管がん1例、胆嚢がん3例、遠位胆管がん2例)で発見され、最近、FGFR2融合遺伝子陽性の肝内胆管がんで使用が承認されたFGFR阻害剤での治療が期待できる。

 

予後解析においては、PTEN遺伝子とCDKNA2遺伝子のゲノム異常がある胆道がんの予後は悪いことが示されたことから、PI3K阻害剤またはCDK阻害剤による治療が期待できる。

 

次に、免疫チェックポイント阻害剤の反応性について、胆道がんのRNAシークエンス解析のデータから、PD-1/L1遺伝子の発現とがん組織内のT細胞関連遺伝子の発現を解析。その結果、PD-1/L1遺伝子の発現が高く、かつT細胞関連遺伝子の発現も高い群(Tリンパ球ががん組織内に存在する群)に35例が分類された。これらの胆道がんの症例には、免疫チェックポイント阻害剤の効果が期待できると考えられる。

 

以上の結果を合わせると、47.9%(105例/219例)の胆道がんの症例について、何らかのゲノム情報と適合する治療薬が存在することが明らかになった。