翔ちゃん家に俺のスペースは
二つある。まず一つ目が私物を
色々持ち込んでる8帖の部屋。
そして二つ目は、翔ちゃんの
腕の中…とでも言いたいところ
あいにく今夜は先客が独占中。
あの書類の山、さっきから
ホントに邪魔なんだけど
なんとかなんないかなぁ…
大きな仕事が控えていて
翔ちゃんは事前準備に忙しく
勉強時間を捻出する為に
今年の誕生日はウチごはん。
「…ごめんな、帰って来たら
絶対埋め合わせするから」
外出て、風邪を引いても困るし
家でゆっくりしよって言ったのは
俺の方なんだけど、翔ちゃんは
心底申し訳なさそうな顔をして
何度もそう繰り返した。
だからここは「出来た恋人」として
「仕事と俺、どっちが大事?」
なーんてコトは口にしないで
おとなしく待ってるつもり。
ソファに並んで座ったって
べったり寄りかかったりしないし
腹筋・背筋・その他もろもろ
めいっぱい稼働させては
ほんのちょこっともたれるだけ。
せめて膝の上でごろごろ
甘えられたら嬉しいのに
いくつも紙の資料が並んでて
俺の乗っかる余地がない。
邪魔にならないように隣で
横顔盗み見るのが精一杯って
かなり淋しいんですケド。
「……ぅ…」
名前呼びたいのもガマンして
少しだけ肩にもたれる角度を
バレない程度に下げてみると
「忘れてないよ」というように
翔ちゃんの腕が伸びてきて
俺の頭を引き寄せた。
そのまま、戯れるようにして
髪を撫でてくれるけれど
何やら重要ポイントになると
絡めた指先が止まってしまう。
大事な部分を読んでるらしく
文字を追っている横顔は
ゾクゾクするほどカッコいいけど
頭の中のデータが増える度に
俺の存在が押しやられるようで
じわじわと不安が増大する。
「…ね… 翔ちゃん…」
気づいた時にはうっかりと
声が出てしまっていて
ハッとしてしまったけれど
「ん?」と応えてくれながら
再び動き出す指先は優しい。
髪をすいて耳をくすぐられると
何だかたまんなくなって
二割増し、甘えた声が出た。
「…あのねぇ…」
「んーん? どした?」
「ここ、かゆい…」
「どこ?」
「なんか…ぷつってなってる」
髪と遊んでいた指先を掴まえ
そっと俺の服の中へと導くと
翔ちゃんが思わず吹き出す。
「…もしもし雅紀くん?」
「なに翔ちゃん」
「もしかしてこれ…
いや、もしかしなくても
乳首ですよね、ここ」
「でもかゆいんだもん」
「ケーキ食いすぎじゃね?」
クスクスと笑いながらも
翔ちゃんが爪の先で
カリカリと引っかくから
あっという間にカラダは
危い熱を孕み始める。
なのに、翔ちゃんの手は
妙に余裕があるのが悔しくて
俺の負けん気に火が付いた。
「…っん…っ…」
気持ちぃって伝える声は
いつもより、ちょっと早め。
肩先に額を押し当てて
そっと見上げた横顔は
まだ文字を追っているから
翔ちゃんだけに届くように
色を乗せた吐息を零す。
瞬間、ぴくりと震えた指先に
俺が気づかないワケがない。
もう一押し、って熱くなって
そっと翔ちゃんの服を噛む。
途端、文字を追う瞳の動きが
動揺したように乱れ始めて
爪で引っかいていた場所を
くにくにと指で強くこね始めた。
いつもの…翔ちゃんのリズムに
「始まり」を確信してしまえば
深い安堵が押し寄せてくる。
「その顔…」
ふいに顎先を捕らえられて
翔ちゃんに顔を上げさせられる。
すぐ目の前に迫った端正な顔が
少し恨めしそうに俺を見ていた。
「してやったり、って顔してる」
「お仕事、もういーの?」
「どの口がそれを言う?」
「このく…」
答える前に噛みつくようなキスで
呼吸ごと、深く深く奪われる。
構えていなかった口の中に
やや乱暴に迎えに来られて
あっという間に舌が攫われた。
あとはもう、なす術もなくて
横抱きにされたまま、必死に
翔ちゃんのキスについていく。
どのくらいそうしていたのか
静かな部屋に響き続けた水音が
可愛いリップ音へと変わる頃
翔ちゃんは俺の前髪をかき上げ
小さなため息をついた。
「…連れて行きてぇなぁ…」
それが何のことか察して
黙って翔ちゃんの頬を撫でる。
離れたくない気持ちが同じなら
それだけで俺も頑張れるよ。
「昔…ニノのドラマであった」
「は?ニノ?」
「彼女が小さくなるやつ」
「ああ、あれか」
「俺も小さくなれたら
ついて行けたね」
「………」
「翔ちゃんの荷物の中
入りたかったよ」
俺の話は相変わらず飛ぶって
眉尻を下げて笑ってたのに
ふいに真剣な表情になった
翔ちゃんに見つめられたら
後の言葉が続かない。
そのまま降りてきた鼻先に
くすぐるように顔中触れられ
時折、食むようにキスされたら
何だか泣きたくなってきて
胸がきゅうっと締めつけられる。
「…俺も入りたいんだよね」
「翔ちゃんも?どこに?」
「ん… この辺かな…?
奥の… うんと奥に…」
意味深な手つきで下腹部を
まるく撫でまわされれば
たちまち感傷も吹っ飛んで
ぺちんとその手を引っ叩く。
「…その言い方、なんかヤダ」
「誕生日なんですけど…」
「だめ、却下」
「何て言えばいいんだよぅ~」
「翔ちゃん、頭いいでしょ?」
「あああーっ!もうっ!!」
全て投げ出したように上を向いて
わしわしと髪を乱した翔ちゃんが
いきなり俺を押し倒した。
何もつけていないサラサラの髪が
額に当たるのがくすぐったくて
つい横向いたのが気に障ったのか
俺の頬を両手で包み込むと
早口でナゾの宣言をする。
「誕生日おめでとうございます!
今年もありがとうございます!
それではいただきますっ!!」
ソファーだと抗議する間もなく
重ねられた身体の熱さに
抵抗するのを止め、抱き返す。
バサバサと音をたてて散らばる
たくさんの資料を眺めながら
「お仕事」に勝ったんだなって
密かにガッツポーズをした。
~ Fin ~
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚
こんばんは、micaと申します。
こちらのページをご覧くださり
どうもありがとうございます。
はーやったやった!
何とか25日中に間に合った♪
普段、いたって怠け者の私でも
何かせねばと奮い立つのが
恐るべし1月25日マジック。
なんの義理も義務もないのに
必死になってまうのであった…
FCの動画を見て、名言だヮと
即席妄想をこさえましたが
滅多に雪など降らない地でも
今朝は結構な雪の量となり
アナ雪ネタもアリだったかも。
とても車を出す事が出来ず
徒歩を強いられたムスメは
「エルサ櫻井の呪い…」と
捨て台詞を残しての登校。
確か一昨年の1月25日も
雪だったような記憶があり
やはり雪の女王様?
ならば冬のオリンピックも
どうぞお守りくださいね。
貴方様のご無事のお戻りを
お祈り致しておりまする。
(↑まだ出かける前…)
mica
