編集者の将来について考えさせられました | 新宿二丁目の夕日

編集者の将来について考えさせられました

先日、元上司と会食の機会があったのですが、その席で「これまでこの(PC/IT関連出版)業界は恵まれていた。実力以上に本が売れていたのを自分は売れる本を作っていたと勘違いしていた編集も多かったと思う。しかしこれからは本当に書籍編集者としての本質を問われることになるだろう。」という話しになりました。
なるほど、自分の経歴を振り返ってみても、最初の会社に入った翌年にWindows95が発売され、それからインターネットの爆発的な普及があってと、とても運がよかったと思います。それにいわゆるバブル入社世代の尻尾にもあたるだけに元上司の言葉にはただただ、「そうですね・・。」と頷くしかありませんでした。

また先週、ある出版社のウェブコンテンツリニューアルに伴う説明会に呼ばれて出席したのですが、そこで部長さんが仰っていたことは「これまでは大学卒業してすぐの人間でも、印刷所や諸先輩のアドバイスがあればが本が作れた。しかしこれからは違う。もう本が作れるだけでは生き残れない。そして同様に1社1芸の制作会社にも退場していただくことになるだろう。」と大変厳しいお話が・・・。

さらにさらに今度はIT出版業界の取締役の方、その方は恐らく日本で一番出版とネットについて考え様々な事業を実行されている方だと思いますが、その方のセミナーに出席しまして、そこでのお話は「デジタル化の波に洗われると本質しか残れない」とのことで、「これからも紙でやるならネットではほとんど無料でできることを何百万円もかけて作るだけの価値ある情報を提供できるのか? ネットでやっていくならばひとつのコンテクストを元にユーザーニーズに最適な媒体を、最適なチャンネルで販売することができるのか?」ということを考えさせられました。

デジカルは、創業当初、紙とデジタル(ネット)を融合するサービスを追求するといっていたのですが、昨年からこっそりその看板は下ろしていました。そのときはなんとなく融合は違うかなぁと思ってそうしていたのですが、ようやくはっきりとわかってきました。
これからは、紙の本が持つ優位性を活かす部門はデザイン室で(あ、デザイン室でもウェブデザインやフォントデザインなどをやっていきますが)、ネット時代に対応した媒体企画編集技術は出版事業部でというような切り分けにしていこうと考えています。

もっとも現状は、いただいた仕事を精一杯こなしていくところで必死なところもあって思うようには実現できていませんが。諦めずにやっていくつもりです。