行政書士として顧客の利益になる業務を行うには、

下積み、実務経験が欠かせません。

そして、行政書士合格者にとって、実務経験を積むことが非常に困難なのが、

現在の行政書士業界なんです。


人を雇うほどの仕事量を抱えている行政書士事務所が、ごく僅かしかない。

多くは、先生一人、という営業形態なんです。


ホームページで、「○○国際行政法務事務所」などと格好良く謳っていても、

その内実は、小さな個人営業だったりするものです。


これまでの行政書士業界は、小さな個人営業を、

いかにも大きな組織であるかに見せるために、

立派なウェブサイトの制作に力を入れてきた面があります。

ところが、そのこれまでの常識を覆すことになってしまったのが、

Googleのストリートビューです。


事務所の概観が一発で表示されるこのシステムは、

いくら立派なホームページを持った事務所でも、

その経営状況まで想像させてしまうんです。


所属する行政書士会の会員達へ、FAXを送ったことがあります。

電話兼FAXが非常に多く、電話も、事務所名で取られることなどほとんどありません。

「はい、○○です」と奥さんが出ることも多い。


それから、私はかなり遠い地域の行政書士と契約書を作ったことがあります。

依頼者が、なぜか遠い地域の行政書士へ、ネットを見て依頼したらしい。

なるほど、確かに立派そうなホームページです。

それを見て、彼の事務所へ電話したら、奥さんが電話に出ます。


奥さん「はい、○○(個人名)です」

うさ吉「○○事務所のうさ吉と申します。○○先生、いらっしゃいますか?」

奥さん「出かけてるみたいです」

うさ吉「何時ごろ、お戻りでしょうか?」

奥さん「さあ、知りません。いつもどこか出かけているんで」

うさ吉「でしたら、お戻り次第、折り返し電話いただくことは可能でしょうか?」

奥さん「うちは関係ないんで、本人の携帯にかけてもらえませんか? 家にかけられても迷惑なんです!」

という奥さんのキレ気味の言葉が最後。


この時の行政書士の奥さんの言葉、強烈に印象に残りました。

旦那さんは、行政書士登録をして、仕事もろくにせずにプラプラしており、

そんな旦那さんに、奥さんは完全にキレている、ということが、

電話越しに伝わってきます。


ネットや名簿で調べてみると、彼は40代で、開業後、1年ちょい。

奥さんは、旦那さんの仕事に対して協力する気など全くなく、

それよりも早く行政書士業を諦めて、真面目に働いてほしいのでしょう。


その後、ストリートビューで彼の事務所を検索してみると、

やはり居住用マンションが表示されました。


行政書士業という産業を考えるときに、

自宅を事務所としている人の割合が、あまりに多いことに気づかないといけません。

彼らは、自分から会社に出向くから、事務所など必要ない、と言います。

はたして、そうなのか?


例えば、弁護士、税理士などの士業では、自宅兼事務所は稀だと思います。

これは、業務内容の特殊性に由来するのかといえば、

私はそうは思えません。

それよりも端的に、行政書士という産業が、

いかに市場において成立していないか、を表しているようにしか思えないのです。

成立しない産業をいかに盛況にみせるか、のために、

固定費のあまりかからないホームページには力を入れている、

というのが現実でしょう。