最近、テレビCMで行政書士の通信教育の案内がされています。

54000円くらいだったか?の教材を購入すれば、

なんだか行政書士試験に合格するような気がしてくる…


…のですが、

合格者として、実務家として一言。

あのCMには騙されないようにしましょう。

あれはあくまでも、教材の価格であり、

あの金額で資格が買えると混同しないようにしましょう。


あの会社のセールスポイントは、「わかりやすさ」ですが、

法律は、「わかりやすくする」事で「わかりにくくなる」という側面があります。

法律用語は、特殊なテクニカルタームです。

「悪意の第三者」、「対抗できない」、「瑕疵ある意思表示」

など、日常会話では絶対使わない言葉が次々と登場します。

これらの法律上の概念をいかに駆使して、

現実の生の事実に当てはめて、妥当な結論を導くことができるか、

というのが、法律学の知見です。

一見、ただの「難解な言葉遊び」のようなんですが、

この難解な言葉には、法を知るものだけが共有する共通概念が含まれています。

法律を理解するためには、かみ砕いた言葉だけでは到底ダメで、

条文や、判決文などに使われる言葉を、自然なものとして受け入れることが必要です。


法律学は、元々、分かりにくいものなのです。

分かりにくくて当たり前、と思うべきです。

法律の学習は、訓練です。

わかりやすいから勉強できる、わかりにくいから勉強できない、という人は、

行政書士試験合格に必要な訓練に耐えることはできません。

少なくとも、勉強開始数ヶ月の初学者で、

「この本が分かりやすい」

等と言っている人が合格したのを見たことがない気がします。


冒頭の会社のテキスト、私も見たことがありますが、

非常に簡単に書いており、入門者にとっては分かりやすい気がしますが、

あの教材だけで合格する人は、極めて希有な存在ではないかと思います。

本格的な勉強開始へのステップになる、という意味では否定しませんが、

あれだけで合格できると思わないことです。


それにしても、「わかりやすさ」って何でしょう?

易しい言葉で書いているのが分かりやすさではなく、

スジが通っている、論理一貫しているのが、

私の考えるわかりやすさです。


そうそう、今にして私が分かりやすいと思う名著を紹介します。

池田真朗著「スタートライン民法総論」

勉強を始める人は、通信講座セットを買うよりは、

こっちを熟読して、法律学との相性をはかって欲しい。

(あくまでも入門書であって、現在の行政書士試験の水準には到達しません。)


この著者の前作がこちら。

池田真朗著「スタートライン債権法」

これなんて、当時の出版事情を考慮すると、入門書としてはすごい名著でした。


色分けされてるとか、イラストがあるとか、マンガがあるとか、横組みとか、

そんなのは、法律学のわかりやすさとは実は無縁の話なんです。

図があるといい、という人もいますが、

問題文を読んで図を書く練習をすべきです。