行政書士試験の憲法・民法・行政法対策に関して、

もはや過去問ベースの予備校テキストでは歯が立たない、

ということを、以前の記事で私は述べました。

では、何の本を使いどのように勉強すればよいか、ですが、

市販の基本書というのは、色々種類があります。


ここで、学者の書いた基本書を色々と紹介しても良いのですが、

「現在の行政書士試験対策」という視点で見たときに、

すでに決定版と呼べる書物が出版されており、

他を紹介する意義は少ないと言っても過言ではありません。


司法試験の受験生なら、誰でも一度は開いたことがある本といって構わないでしょう。

伊藤真「試験対策講座」(通称シケタイ)

憲法と行政法は、それぞれぶ厚い1冊

民法は、総則・物権・債権総論・債権各論・親族相続の薄い5分冊

計7冊ですが、大変読みやすい本ですので、何も恐れることはありません。

独学にも、向いています。

むしろ、この本さえ読めない受験生は、行政書士実務に就くのは諦めた方がよいのでは…

と私は思っています。


この本は、厳密に言えば基本書ではなく、予備校本の類です。

予備校本を基本書にしていいのか、という不安がある人もいるでしょうけど、

全く気にしないでください。


私が再三主張する予備校本の問題点は、

過去問分析→無駄のない対策→予備校本

という、過去問ベースの学習が、現在の行政書士試験には、

有効に機能しないことにあります。


ところが、この本は、行政書士試験の過去問を分析したものではありません。

これまでの長い年月、法律系試験最高峰だった司法試験の過去問を分析した上で、

執筆されたものです。

司法試験の出題は、長らく法学の基本論点でした。

法学の基本論点に関する知識が必要な現在の行政書士試験にとって、

これほど最適な教材はないでしょう。


著者の伊藤真は、司法試験のカリスマ的講師であり、

信者もアンチも多数いることでしょうけど、

この本は、法律初学者向けに、

通説に対する大御所学者の論証(理由づけ)をしっかりと記述しており、

その点で、他の予備校本と比べても、秀逸です。


芦部信喜という有名な憲法学者がいました。

現在でも、芦部先生の本は、高橋教授の補訂により、

多くの人に読まれています。

しかし、初学者、受験生が、芦部先生の著書を読んで、

本当に憲法学の論点が見えてくるのか、

私には疑問です。


その点、伊藤真の著書は、初学者に分かりやすく論点を提示する工夫が

随所に施されています。

伊藤真の本で法学の基本論点を把握して初めて、

芦部先生が行間に書こうとしたことがやっと読めてくるのではないかと思うのです。

それはあたかも、大学の法学部で「統治機構」の講義を受け、

それから教科書である「芦部憲法」を読むようなものに感じるのです。


今年の行政書士試験にあと一歩で落ちたっぽい方へ。

ぜひ、シケタイを基本書に、勉強を再開することをオススメします。