石田衣良 - うつくしい子ども
- 著者: 石田 衣良
- タイトル: うつくしい子ども
今をときめく人気作家石田衣良。僕は「池袋ウエストゲートパーク」はあんまり好きじゃないんですがこの作品はよかった。
●ストーリー
ある街で小学生の女の子が殺害される事件が起こった。その犯人はなんと主人公(僕)の弟だという。
その日を境に、幸せだった彼の家庭は崩壊する。犯人の弟は補導され、毎日記者が家の周りをうろうろし両親は離婚を余儀なくされ、家も引越しして主人公はアパートに母親と妹との暮らすことに。
妹は小学校を変わったが主人公は同じ中学校に残り、弟がなぜそんな事件を起こしたかの真相を探り始める・・・。
とまぁ、あいかわらずわかりにくいストーリーですいません。この作品のすごい所は殺人事件の被害者ではなく殺人犯の犯人の兄に着眼点を置いたところ。彼は弟の犯罪のせいで家庭も崩壊し彼自身の人生も真っ暗になった。「殺人犯の兄」という肩書きは一生消すことができない。「もし自分だったら・・・」なんて考えたくなく目を背けてしまうようなことを書き綴った石田衣良はすごい。
この作品を通じて感じたことは犯人の家族、彼らもまた被害者なのだということ。もちろん責任問題もある。
だが、そういう理論以前にやりきれない思いでいっぱいになる。
この事件を通じて立派に成長する主人公、そして衝撃のラストと後半はとりつかれたように読み続けた。
重い話だが、必ず何かを考えさせられるとても印象深い作品であった。