街の華やいだイルミネーションの明かりが俺を照らす。
交差点の一角にあるベンチに腰を下ろした俺は下におちていた吸いかけのタバコを拾って,火をつけた。ただ,咳き込むだけ。
薄汚れた俺を避けるように,ベンチには誰一人として腰をかけない。ただ枯葉だけが,ベンチの上を風に煽られて踊っている。
遠くには巨大マンションが漆黒の姿を浮かべている。まるで地獄への道標のようにも見えてくる。俺は一瞬引きつった笑いを浮かべ,そしてため息を吐いた。「こいつのせいで・・・」
何度この言葉を吐いたことだろう。この墓場のようなマンションのせいで・・・
一年前に別れた妻と娘の顔が走馬灯のように,駆け抜けてゆく。でも今はその顔さえも段々と陽炎のように薄れてきている。ため息しか出てこない。

雨が降ってきた。間もなく師走に入ろうというこの時期にこんな雨だ。
今日の稼ぎは503円。
これで暖かいワンカップが一本飲めるだろう。

そして,俺は光の届かないガード下の我が家に踵を返した。
イメージ 1


フィクションです。
今日は気晴らしにカメラを持って散歩してみましたが,気分が乗らず不調です。
写真って正直だな~って思います・・・