軽快キックボクササイズ 岡山 | ウォーターダイエット

軽快キックボクササイズ 岡山

 「左!キック!」――。板張りのフロアに軽快なダンスミュージックが響き、掛け声に合わせて、みんなが一斉にパンチやキックを繰り出す。倉敷市新田、精神保健福祉士の白石泰三さん(28)は、NPO法人「基幹型地域生活支援センター・ゆう」(岡山市内尾)の職員。元プロキックボクサーの経験を生かして有酸素運動「キックボクササイズ」を発案し、昨年10月から週1回、センターで教えている。月2回は地域住民も参加。多い日でもまだ20人足らずだが、「心の病を持つ人と住民が一緒に汗を流す場にしたい」と意気込んでいる。


 白石さんは、将来何か福祉に関係する仕事に就こうと考え、川崎医療福祉大(倉敷市)に進学。大学4年の実習に行った病院で、患者の心の悩みの深さに触れた。病気そのもの、家庭との不和、地域の偏見――。悩みは様々だったが、「みんな、生きることに一生懸命だ」と感じたという。「患者が、より充実した生活を送るため、寄り添いたい」と思い、大学卒業後、専門学校に入学した。


 同じころ、格闘技が好きで大学3年から続けてきたキックボクシングの腕前がメキメキ上達。専門学校1年のとき、プロデビューした。しかし翌年のプロ2戦目で、試合には勝ったが、右目が網膜剥離になった。何週間も落ち込んだ。


 「これからは、周囲の人のために一生懸命になったら」。友人の言葉で心を決めた。勉強に身が入り、昨春、精神保健福祉士の国家資格を取得。直後に、メンタルケアを受けている人らを支援する「ゆう」に就職した。


 「センター利用者に対する偏見をなくしたい」との思いを持って働き始めた。「利用者が住民と交流する何かきっかけはないか」。思い付いたのが、かつて自分が打ち込んだキックボクシング。初心者も参加しやすいようにと、その動きをエクササイズに取り入れた。ボクシングの動作を生かして人気を集めている「ボクササイズ」より、脚を大きく動かす分、運動効果も大きそうだった。


 昨年10月から毎週水曜午前に1時間、利用者に教えた。準備運動はキックボクシングの基本動作。ある日、初めて参加した女性が、白石さんが「思いっきりきて」と言って構えたミットに、蹴りを繰り返した。「あつーい」。次第に汗が噴き出て、笑顔がはじけた。


 これらの基本動作を組み合わせ、本番のキックボクササイズは、さらに動きが激しく、リズミカル。約30分間続けると、参加者は皆汗だくになるが、楽しそうだ。「喜ばれるのが一番の励み」。今年1月からは、第2、4水曜日に住民も招くことにした。


 参加者は、最初はセンター利用者と合わせても5人ほどだったが、徐々に増えた。岡山市今の主婦谷口多恵さん(59)は「センターを利用する人たちと、自然に交流できます」と話す。


 それでも白石さんは「利用者と住民は、まだ互いに遠慮がちですね」と言う。両者が楽しめる場をと、キックボクササイズの動きを毎回工夫する。「交流はダイエットと同じ。続けていれば、自然に効果が出るはずです」。問い合わせは同センター(086・298・1160)。


出典:読売新聞