カーボカウント
今年5月に、糖尿病の改善には糖質制限食が良いという研究が報告されました。
研究をおこなったのは順天堂大学の佐藤淳子氏らで、糖尿病患者66人を摂取エネルギーを制限するグループと糖質制限食のグループに分け、6ヶ月間の効果を調べたものです。
その結果、糖質制限グループは一日の摂取カロリーが400kcal減少し、HbA1cが改善、糖尿病薬を減薬できた人が6人、インスリン投与量を減少できた人が1人でした。
エネルギー制限グループでは、糖尿病薬を減量できた患者が1人だけでした。
この研究の結論は、糖質制限食の方が成績が良いというものでした。
ここで注目したいのは、糖質制限グループの糖質が130gだったこと、摂取カロリーが400Kcal減少していることです。
糖質をゼロにするのではなく、最適化し、蛋白質を制限したから400Kcalも減少できたのです。
この研究で、糖質制限グループが糖質130gに制限していますが、糖質をこのようにコントロールできる食事法は、つまりはカーボカウントです。
カーボカウントは糖質制限食の信奉者たちが主張するような糖質ゼロの食事ではありません。
ドクター江部の糖質制限食とも違います。
カーボカウントとは
カーボカウントは、アメリカで始まった糖尿病の食事療法です。
私たちが食べる栄養素のうち、血糖を上げるのは糖質ですから、糖質の量をコントールすれば血糖の上昇をコントロールできるわけです。
私は糖尿病患者だったことがあるので、血糖測定器を持っています。
カーボカウントで糖質をコントロールすると、ご飯をどのくらい食べたら血糖値がどのくらい上がるかわかるようになります。
しばらく続けると、わざわざ血糖値を測らなくても料理を見るだけで、血糖値がわかるようになります。
カーボカウントは次のようにします。
カーボカウントは、糖質15gを1単位としてカウントします。
たとえば、先の研究では、糖質が130gですから、15gで割ると、8単位になります。
この8単位を、朝食3、昼食3、夕食2のように3回に分割して食べれば良いのです。
カーボカウントが良いところは、糖質だけを見るので計算が簡単になること、食事の自由度が高くなることです。
カーボカウントは糖尿病患者だけでなく、健康な人にも応用できるたいへん良い食事法です。