食べものが吸収される時間は約半日と聞きましたが、48時間という人がいたり、2週間という人がいたりします。どれが本当でしょうか?


胃の通過時間
私たちが食事をすると、まず胃で消化されます。
一般的な食事の消化時間は下表のとおりです。
消化がもっとも速いのは半熟たまごで、1時間半で胃を通過します。
ご飯やうどんは、だいたい2時間~3時間です。
バターは消化が遅く、驚くことに半日もかかります。



食後の血糖値
ご飯やうどんなどの炭水化物は胃で消化されてブドウ糖になり、小腸で吸収されます。
小腸で吸収されて血液中に入ってきたブドウ糖の濃度を血糖値といいます。
ですから、血糖値を測ると、食品が吸収される時間がわかります。

ジュースは2時間で吸収が終わります。

食パンは2時間半、ご飯は3時間くらい吸収に時間がかかります。



食後の高血糖とは


血液中に吸収されてきたブドウ糖は、まず肝臓に入ります。
ブドウ糖は脳のための大事なエネルギーです。

脳にはブドウ糖を貯蔵する場所がなく、肝臓に貯蔵されます。
筋肉にも300gのブドウ糖が常時貯蔵されています。


もしも、食事の前に運動をしていれば、運動で使われたブドウ糖を筋肉が真っ先に取り込みます。
そして、筋肉が満タンになったら、つぎに肝臓がブドウ糖を取り込みます。
もしも、筋肉も肝臓も満タンになって、まだブドウ糖が余ったら、ブドウ糖は脂肪組織が取り込まれて、脂肪になって貯蔵されます。


このように、筋肉も肝臓も満タンになってブドウ糖が血液中に溢れた状態を食後の高血糖と呼びます。

食後の高血糖は、インスリンの効きが悪い糖尿病患者や、甘いものを食べ過ぎたときにおこります。
また、お腹がすいていないのに、食事をすると、一時的にブドウ糖が血液中に溢れ出してしまいます。

溢れたブドウ糖は、行き場所がないので、脂肪組織がすべて取り込んで貯蔵します。


太らないためには
・お腹がすいていないときは、食べない。
・一度にたくさん食べない。
・できるだけ、3食均等に食べる。


このような食習慣を守ると、食後の高血糖が起こりません。

食事を均等に食べれば、だいたい、6時間くらいでお腹がすきます。
栄養の吸収が遅くとも4時間くらいで終わり、その後は、血糖値がすこしずつ低下するので空腹になりはじめます。


栄養の吸収に半日もかかる人、つまり、食後の高血糖が半日も続く人は糖尿病です。

私たちは、一日3回お腹がすきます。

これは、栄養の吸収が4時間くらいで終わってしまうからです。


栄養の吸収に半日もかかる人は糖尿病です。

吸収に48時間もかかる人は、体重の水分変動を混同している人です。

女性は月経周期によって体重が変動します。排卵日から月経までの2週間が水分の貯留期です。その後の2週間が痩せ期です。

栄養の吸収に2週間もかかるという人は、この水分変動を混同しているのです。


私たちは食事をする前に、食べられる量か値踏みをします。

食事の量が多すぎると、私たちは子供のときから、そんなに食べられないと拒否します。

私たちはそのようにして、子供のころから適量を学習していて、その量を守って食べます。

ですから、私たちは、決して満腹と感じるまで食べているわけではありません。

お腹がいっぱいになるまで食べると、あとで苦しくなるので、食べられる量を前もって決めるのです。

食事が終わって、20~30分ほどすると、満足感が生じます。このときの血糖値がピークです。

血糖値がピークになるまで食べるわけではないのです。


食事の吸収に12時間もかかるのだったら、食事の回数は一日2回でよいはずです。

食事の吸収に48時間もかかるのだったら、食事は2日に1回すればよいことになります。

私たちは一日3回食事をします。それは、栄養の吸収が3~4時間くらいで終わるからです。