関西地方は、今が花粉の最盛期です。
6時頃から花粉が飛び始めるので、今朝は5時前からジョギングを始めました。空が少し白んだ頃でした。

私は、ヘッドフォン一体型ラジオを聴きながら走ります。
今週は大阪大学健康科学イノベーションセンター長渡辺氏の疲労と回復のメカニズムの話を聞きながら走りました。


劇的な効果があるイミダペプチド
コエンザイムQ10やクエン酸、ビタミンB1なども、それぞれ疲労回復効果があることが実証されています。ただし、それらの成分が体内で作用する場所がそれぞれ違います。
筋肉の疲労の回復について、劇的な効果があるのはイミダペプチドです。


次のような実験があります。
コエンザイムQ10やクエン酸、ビタミンB1などを飲んでエアロバイクを4時間濃いでもらいます。
すると、自転車の回転数が次第に落ちていきます。

エアロバイクを4時間漕いだあと、4時間休息をし、今度は10秒間エアロバイクを力いっぱい濃いでもらいます。

イミダペプチドを摂取したグループは、下図のように最初の回転数まで疲労が回復していました。




イミダペプチドとは
鶏のむね肉やカツオやマグロなどの回遊魚に含まれる成分です。
上の実験では一日に400mgのイミダペプチドを服用していますが、これは鶏むね肉200gに相当する量です。

通常は一日200mgのイミダペプチドで良く、それは鶏むね肉100gで摂れる量です。


疲労回復のメカニズム
面白いことに、コーヒーを飲んでも自転車の回転数が上がります。
しかし、これは、カフェインの覚醒作用で
、脳が興奮することによって一時的にパワーが出るのですが、筋肉の疲労が回復した結果ではありません。


イミダペプチドは筋肉の疲労に対して働きます。

ヒトの筋肉にはイミダペプチドの受容体が多く分布していて、イミダペプチドを摂取すると、その抗酸化作用が筋肉に対してはたらくようになっているのです。


さらに面白いことに、ヒトの場合、脳内にもイミダペプチドの受容体が多く分布しています。
ですから、鶏むね肉を食べると集中力が高まり、受験勉強に良いかもしれません。
東京大学では、アルツハイマー病モデルマウスを用いて、認知機能の低下を回避する作用が抗酸化ジペプチド(カルノシン)にあることを確認しています。


健康科学の将来
現在はヒトの疲労度を正確に計測することができませんが、もしも、血圧計や体温計のようにヒトの疲労度が簡単に計測できるようになると、健康な生活の向上にたいへん寄与することになると思います。
有酸素運動でも筋トレでもある程度負荷をかけることで向上することがわかっていますが、ストレスについても同じで、ストレスを全くなくすよりも、ストレス負荷が少しだけある状態の方が健康に良いのです。
そのために、大阪大学健康科学イノベーションセンターでは、疲労感を正確に測定する方法の研究をすすめているそうです。