ゾーンダイエットは、アメリカで流行のダイエットです。日本では、4・3・3ダイエットとして紹介されたりしています。

ゾーンダイエットは、アマエリカのシアーズ博士が、食べ物とホルモンバランスの関係を研究して、医学的な見地からたどり着いたダイエット法です。
ルールはかんたんで、炭水化物、タンパク質、脂質の割合を4:3:3にするだけです。

いわゆる、低糖質、高タンパク質の食事をとると、身体のホルモンバランスがダイエットにもっとも適した状態になるのです。
シアーズ博士の考え方は、近年、グレリンなどのホルモンの発見によって、正しいことが次第に証明されてきました。

ゾーンダイエット 蛋白質必要量
ゾーンダイエットでは、まずタンパク質の必要量を決めます。
そして、蛋白質の必要量を基にして、4・3・3の割合を決めるので、蛋白質の必要量がたいせつです。


タンパク質の計算式
タンパク質の必要量を次の計算式できまます。


蛋白質必要量 = 除脂肪体重 x 活動レベル指数

活動レベル指数

座りっぱなしの人 = 1.1
1日30分程度歩く人 = 1.3
1日30分の運動を週3日 = 1.5
1日30分の運動を週5日 = 1.8
週に2.5時間以上の運動をする人 = 2.0
週に5日はウエイトトレーニングをする = 2.2
スポーツ選手 = 2.2

計算例
私の身長は身長178cm、体重60Kg、体脂肪率12%ですから、除脂肪体重は 52.8 Kg です。
活動レベル指数は、毎朝ジョギングを1時間30分していますから、活動レベル = 2.0 に当たります。

したがって、私の必要タンパク質は、タンパク質 = 52.8 x 2 = 106g ということになります。

タンパク質の必要量が決まったら、今度はカロリーベースで、4・3・3の割合になるように、脂質と炭水化物の必要グラムを計算します。整理するとつぎのようになります。

タンパク質 = 106g x 4 = 424Kcal
脂質 = 47g x 9 = 424Kcal
炭水化物 = 140 x 4 = 560Kcal
合計 = 1408Kcal となります。

必要栄養素のカロリーの合計が1408Kcalになりますが、これはちょうど私の基礎代謝に相当します。
つまり、ゾーンダイエットは蛋白質を今よりも増やし、その代わり炭水化物をもっと減らして、さらに、摂取カロりーを基礎代謝まで落としなさい。そうすれば痩せられますということです。

それができれば、当然痩せられると思います。



グレリン
私たちの空腹感は、これまでは主に血糖値によってコントロールされていると考えられてきました。

ところが、近年になって、血糖値以外にも、胃から分泌される物質によっても食欲が影響されることがわかってきました。

1999年12月、国立循環器病センター研究所生化学部の寒川賢治博士らが、ラットの胃からグレリンという物質が分泌されることを発見、その単離・構造決定に成功しました。
グレリンには強力な摂食促進作用があり、筋肉増強、体重増加をもたらします。

グレリンは空腹時に分泌し、摂食すると抑制され、インスリンによっても抑制されます。
絶食やレプチンの投与によりグレリンが増加します。グレリン濃度は肥満者に低く、痩せると高くなります。

米国ワシントン大学医学部のFoster-Schubert氏らによる研究で、16人の被験者に対して、
1)炭水化物80%の500Kcalの飲料、
2)タンパク質80%の500Kcalの飲料、
3)脂質80%の500Kcalの飲料
をそれぞれ別々の日に摂ってもらい、グレリンとレプチンの血中濃度、ならびに、空腹感を調べました。その結果は、下図のようになりました。




その結果、蛋白質や脂質が多い食事を摂ると、グレリンが6時間も低下したままでした。

これは、蛋白質や脂質が多い食事では6時間もお腹がすかないことを意味します。

ところが、炭水化物が多い食事を摂ると、4時間後にはグレリンが上昇しました。
この研究によって、炭水化物食はお腹がすきやすいことがわかります。


山梨医大の実験

同じような実験が山梨医大でもおこなわれました。
山梨医大では、学生7人が参加し、朝食に炭水化物食、蛋白食、脂質食を食べ、食後の空腹感と血中脂肪酸・アミノ酸濃度の変化を調べました。その結果は、つぎのとおりでした。

1)食後に満腹感を強く感じたのは、蛋白食、脂質食、蛋白食の順だった。
2)炭水化物食は、食後5時間で空腹感が強く耐えられない者がいたが、脂質食と蛋白食は空腹感が強くなかった。




食事摂取基準の欠点
下図は、厚生労働省の食事摂取基準ですが、ゾーンダイエットと食事摂取基準がよく似ていることがわかります。
食事摂取基準は、現在体重を維持するための栄養基準です。実は、基準のとおりに食べると肥満してしまいます。
一方、ゾーンダイエットは減量するための食事法です。ゾーンダイエットは、減量のためには、食事摂取基準のうちの炭水化物を60%から40%に減らして、その代わり、タンパク質を多めに摂りなさいという食事法です。

食事摂取基準では、脂質の目標量の下限が20%以上になっています。
栄養の必要量を摂取カロリーの何%という決めかたでは、食べ過ぎている人はますます食べ過ぎになり、痩せすぎている人はますます痩せすぎることになります。
食事摂取基準のもう1つの欠点は、個人は「推奨量」、集団給食は「推定必要量」を適用することになっていることです。
推奨量とは、統計的には国民のほぼ全員が肥満する量です。
もしも、集団給食に推奨量を適用すると、残飯が多量に余りってしまいます。だから、集団給食には推定必要量を適用します。
食事摂取基準は、実は理想的な栄養バランスを示したものではないのです。ところが、多くの人が食事摂取基準を栄養バランスの根拠にしているところに問題があります。
私も以前は、食事摂取基準の栄養バランスにしたがって食事をすれば、最小のカロリーで満足感が得られる食事ができるものと信じていましたが、そうではないのでした。




蛋白質の推定必要量
たとえば、蛋白質の場合、摂取量を増やしていくと、血中の窒素濃度が上昇します。ところが、ある点を超えると、摂取量をいくら増やしても窒素濃度があがりません。これは、余った蛋白質を腎臓が懸命に排出するからです。窒素平衡といいますが、この窒素平衡から、その人の蛋白質必要量がわかるのです。
国連WHOでは、蛋白質必要量を0.65g/Kgと勧告しています。
日本でも10年くらい前までは、蛋白質必要量を1.08g/Kgとしていましたが、現在は体重に関係なく、推定必要量が成人男性50g、成人女性40gと定められています。





推定必要量と推奨量
下図は、推定必要量と推奨量の関係を示します。 まるい円が推定必要量です。
個人の場合は、吸収率が悪いといけないので、少し多めに摂りましょうというのが、外側の推奨値です。

しかし、ダイエットをするのに、少し多めに設定したものを基準にしていたのでは、痩せられません。ダイエットのためには、これだけは絶対に摂らなければならない最小の値を示してもらいたいものです。

蛋白質は、昔のように1.08g/Kg
脂質は、必須脂肪酸15gと飽和脂肪酸15g
炭水化物は144g、



推定必要量にしても推奨量にしても、これだけ食べたら痩せられるわけがありません。

ゾーンダイエットは痩せるためのダイエットですが、厚生労働省の食事摂取基準は健康のためのダイエット法なので、痩せられるわけがありません。



もみじの里ハーフマラソンに向けて
3月に神戸マラソンに申し込んだのですが、抽選漏れの通知がきました。
それから、気が緩んで、体重が2キロ増加しました。間食の食べ過ぎです。
ゾーンダイエットのいうとおり、炭水化物を半分に減らして、たんぱく質を多く食べると、どうなるでしょうか?
ゾーンダイエットは、アトキンス式やスーパー糖質制限食のような極端なダイエットでありません。
厚生労働省の食事摂取基準にもよく合致していて、炭水化物だけを減らし、摂取カロリーは基礎代謝以上のカロリーは摂りましょうというものです。
とにかく、これでいってみようと、体験することにしました。
鶏肉、手羽先、ささみを大量に買いこんできました。


ゾーンダイエット14日間のまとめ

第1日目 たんぱく質を106gも食べるとお腹がすきません。間食なし。1400Kcal
第2日目 二日目から昼食の炭水化物を抜くことにしました。1572Kcal
第3日目 昼食で炭水化物をぬくと、4・3・3のバランスが簡単に実現します。1855Kcal
第4日目 昼食ご飯抜き。間食はチーズ。 1973Kcal
第5日目 昼食ご飯抜き。間食はトマトとチーズ。1376Kcal
第6日目 昼食ご飯抜き。間食はミニトマト。1170Kcal
第7日目 昼食ご飯抜き。1293Kcal
第8日目 昼食ご飯抜き。1493Kcal

第9日目 昼食ご飯抜き。間食にトマトとチーズ。1441Kcal

第10日目 昼食と夕食、ともに炭水化物の食べ過ぎてしまった。2546Kcal
第11日目1627Kcal
第12日目1249Kcal
第13日目 昼食ご飯抜き。1630Kcal
第14日目 昼食ご飯抜き。間食にチーズ。1619Kcal

・体重 -2.4Kg
・体脂肪率 -2.5%
・最初の2~3日は、高蛋白食の空腹感が少ないことに驚いた。
・甘いおやつなどの間食をしなくなった。
・間食に果物1個、チーズ1個、ミニトマトなどをときどき食べた程度。

体重が2.4Kg、体脂肪率が2.5%落ちたのは、毎朝13Kmのランニングをつづけたせいですが、間食がピタリとやめられたのは、ゾーンダイエットのおかげだと思います。



ゾーンダイエットは厳しいダイエットですが、確かに痩せられます。